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前回、AIによって人の思考が同質化し、アイデアへの当事者意識が薄れる問題への処方箋は二つあると述べた。AIを適切につくることと、人がAIを適切につかうことである。今回は後者、つまり「つかう」側を掘り下げたい。
本連載では、AIとの共創がもたらす思考の均質化や、当事者意識の低下といった問題提起を重ねてきた。今回からは、処方箋を語っていきたい。処方箋は大きく二つある。AIを適切につくることと、適切につかうこと。この両者が揃って初めて意味があるが、本稿で扱うのは適切につくる方だ。
これまでこの連載では、AIによる「均質化問題」をアカデミックな研究をもとに考えてきた。今回は視点を変え、TBWA\HAKUHODOと一緒に取り組んでいる事例から、この問題への思考を深めたい。今日のキーワードは「暗黙知の形式知化」、そしてその先にある「組織知化」だ。
前回まで、AIが組織の発想を均質化させるという問題を掘り下げてきた。第1回では、個人の発想は狭まらないのにグループとしてのアイデアが収斂する構造を確認した。第2回では、モデルの世代交代やプロンプトの工夫では、この均質化は解消しないかもしれないということを紹介した
前回、Andersonらの研究をもとに、AIが個人の発想を拡げる一方で、組織レベルでは発想の均質化が起きているという構造を紹介した。あの話を読んで、こう思った方もいるかもしれない。「それは特定のモデルの話でしょう? モデルが進化すれば解決するのでは?」
マーケティング組織にとって、クリエイティビティ(創造性)は生命線だ。生活者のインサイトを捉え、誰も見たことのない価値を提示し続けるには、常に組織の発想力を高く保たねばならない。
AIを活用した取り組みが活動計画に一つも盛り込まれていない組織のほうが、今や少数派だろう。2~3年前とは状況がまるで異なる。社内のあらゆる部門がAIに関心を持ち、それぞれに投資を進めている。
少し前に、ヒヤッとする出来事があった。私たちのコンサルティングサービスブランドを「MagiCX(マジックス)」と名付けた。サービスサイトに載せるための記事をAIに作成させたときのことだ。
AIとの共創が生む「思考の均質化」というディストピアを克服するために、我々はどう組織を設計すべきか。手をこまねいているわけにはいかない。
これまでの連載では、いかにしてAIを組織に浸透させ、その力を最大限に引き出すかという、いわば「光」の側面を論じてきた。だが、物事には必ず光と影がある。本稿では、これまでの論調とは一線を画し、AIの「影」の側面に焦点を当てよう。
前回の連載では、AI活用が単なる社内業務の効率化に留まらず、広告会社をはじめとするパートナー企業との「共創を新たな次元へと引き上げる可能性について論じた。
これまでの連載では、いかにして組織内部の従業員のAIリテラシーを高め、日々の業務に活用していくかというテーマを論じてきた。このように個々の従業員の生産性を高め、組織全体のケイパビリティを底上げすることは、間違いなく重要な一手である。