自動車会社グローバル業務のBPを主担務に、94年ジャカルタ、99年ベンガルール、05年北京、11年ソウル、18年シンガポール、そして、22年より2度目のソウル駐在。現在に至る
韓国を訪れる観光客が過去最高を更新し続けている。音楽やドラマだけでなく、都市そのものが“K-Culture”の体験装置として進化していることが背景にある。その中心にあるのが、大型LEDメディア(大型DOOH)とPOP-UPストアという2つのOut Of Home(OOH)だ。
いま、アジアの広告業界やマーケティングで話題になっていること
K-Cultureを象徴する2つのOOH ─ 大型LEDメディアとPOP-UPがつくる“体験の都市”
韓国を訪れる観光客が過去最高を更新し続けている。音楽やドラマだけでなく、都市そのものが“K-Culture”の体験装置として進化していることが背景にある。その中心にあるのが、大型LEDメディア(大型DOOH)とPOP-UPストアという2つのOut Of Home(OOH)だ。どちらも広告の枠を超え、都市・SNS・観光を結びつける新しい文化インフラとなっている。
大型LEDメディア ─ 政府主導でキーエリアが「タイムズ・スクエア、道頓堀」化

大型LEDメディアは、政府・自治体の都市戦略とともに発展した。2016年にソウル・江南のCOEX周辺が「屋外広告自由表示区域」に指定され、2024年には光化門、明洞、釜山・海雲台など観光客が集まるキーエリアへと拡大した。これにより、都市空間に大型LEDを積極的に設置できる環境が整い、街そのものが巨大なメディアへと変貌した。
この環境は、K-Cultureのコンテンツと高いクリエイティビティを掛け合わせ、観光客が“撮りに行く”目的地を生み出した(*1)。大型LEDは「広告を見る場所」から「動画を撮る場所」へ、さらに「SNSで共有されるコンテンツ」へと進化し、都市景観そのものが拡散の起点となっている。
2026年の「BTS THECOMEBACK LIVE ARIRANG」では、ソウル全体が大型LEDやドローン演出と連動し、街全体がコンテンツ発信装置となった。その様子はNetflixを通じて世界へ配信され、都市とエンターテインメントが融合する韓国の姿を象徴した。
POP-UPストア ─ “体験を買う”時代のマーケティング装置

POP-UPストアは韓国で爆発的に増加し、特にソウル・聖水(ソンス)は「POP-UPの聖地」と呼ばれるほどになった。SNSの普及、MZ世代の台頭、コロナ禍でのリアル接点の再評価など複数の要因が重なり、POP-UPは“体験を買う”文化として成熟した。
メーカーにとってPOP-UPは、売上だけで評価される施策ではなく、SNS露出、ブランド世界観の体験設計(*2)、テストマーケティング、データ取得など、多面的な価値を持つマーケティング装置へと進化した。2025年にはソウル主要エリアで3,077件のPOP-UPが開催され、前年比79%増という急拡大を見せている(*3)。
体験が文化をつくる─OOHが“K-Cultureの一部”になった理由
大型LEDメディアとPOP-UPに共通するのは、SNSをアンプリファイとして“体験型メディア”として進化した点だ。大型LEDメディアは都市景観を“撮りたくなるコンテンツ”へと変え、観光誘致と都市ブランド向上を同時に実現した。POP-UPはSNSで共有したくなる体験と期間限定の希少性を組み合わせ、ブランド認知、ファン化、インバウンド需要までを一つの施策で実現する。
韓国では、OOHが「広告」ではなく“共有したくなる体験”を売る存在へと変わり、K-Cultureの一部として世界に広がっている。都市とブランドと消費者がSNSを介してつながり、体験が文化をつくる。その最前線に、韓国の大型LEDメディアとPOP-UPストアがある。
カムサハムニダ
(1*)参考動画:https://www.youtube.com/shorts/ka6iyk5qZzM
(*2)参考動画: https://www.youtube.com/watch?v=rYd9WZYYeMY
(*3)参考記事:https://www.korean-culture.org/eng/webzine/202602/sub01.html?utm_source=chatgpt.com








