WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

WORLD REPORT

榮枝 洋文

榮枝 洋文

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表

海外現地法人のマネジメント歴18年(中国・広州/香港、北米・ロサンゼルス/ニューヨーク)。アサツーディ・ケイ現地法人ADK America (WPP Group)のCFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。ニューヨークの最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

共著に『広告ビジネス次の10年』『2030年の広告ビジネス』(翔泳社)がある。

過去のFresh EYEコンテンツは下記から読むことができます。
2023年4月からはこちら

「生成AIが普及すれば、検索広告は減る」――2024年頃から、そうした見方が市場を支配していた。AI Overviews が検索結果の上位を占有し、ユーザーは企業サイトやデジタル広告をクリックしなくなる。いわゆる「ゼロクリック検索」が進み、広告露出の課金は痩せていく。そのはずだった。

GEO/LLMO・AIエージェントへ流れる「別腹の財布」 ―― 広告費が縮まず膨らんだ理由


【図1】5大プラットフォーマー企業の「広告」収益推移(各社IR発表等より筆者集計 一律1ドル=150円換算)

■プラットフォーマー5社で広告収益、3年で31兆円超の純増の衝撃

「生成AIが普及すれば、検索広告は減る」――2024年頃から、そうした見方が市場を支配していた。AI Overviews が検索結果の上位を占有し、ユーザーは企業サイトやデジタル広告をクリックしなくなる。いわゆる「ゼロクリック検索」が進み、広告露出の課金は痩せていく。そのはずだった。

 

ところが、いま起きているのは“ま逆”の現象である。Alphabet、Meta、Amazon、Microsoft、TikTok の5社が直近の3年間で積み上げた「広告」関連収益は、合算で約60.7兆円(4,046億ドル)から、約92.3兆円(6,152億ドル)へ、約31.6兆円(2,106億ドル)もの激増が起きている(図1)。上記の成長は、AWSやGoogleCloudなどのクラウド事業やEC事業を除いた「広告収益」に絞った金額だけで、これだけの巨額に達している。

 

電通の「日本の広告費」によれば、日本の総広告費は2025年時点で約8.1兆円だった。つまり、たった5社が3年で積み上げた広告純増分だけで、日本の広告産業まるごと4年分の規模が新たに生まれた。

 

これは「米国の広告が好調」という対岸の出来事ではない。広告予算という「財布そのものの定義」が変わりつつあると読める。新しい「AIアテンションエコノミー」だ。

 

■広告費が「別腹の財布」で膨らむ

図1のとおり、各社がプラス30%〜100%で成長する一方で、Google Networkセグメント(AdSenseなど旧来型のサードパーティ広告誘導課金)は3年でマイナス9.1%縮小となっている。ゼロクリック化の影響を受けているのは、まさにこの旧来広告の部分だ。つまり、同一プレイヤーの中で、旧来の広告誘導モデルは痩せ、AIにより近い広告費が太っている。広告市場全体が縮んでいるのではなく、重心がシフトしている。

 

その上で、上振れ分はどこから流れ込んでいるのか。ひとことで言えば「別腹の財布」である。日本では、まだこれらを全部まとめて「AI最適化を急げ」として議論している段階にあるが、米国ではGEO/LLMOAIエージェントなど別々の予算ラインで運用する段階に入った。

 

■仕分けが難しい「新しいタイプの広告費」が出現

新しい広告予算の最初の出口は、「AIに自社を上位で覚えさせる」「AIの回答面に出させる」ためのコストである。検索結果で上位に出ることではなく、AIエージェントの選択肢に入ることが新たな目標指標になる。

 

SEOの時代は「人間にとって読みやすいWebページ」を作る作業だった。だがエージェント時代は、MCPサーバーが「(人間をとばして)AIに直接データを流し込む」役割を持つ。MCP対応していない企業の商品は、AIエージェントから見えない。検索エンジンに登録されていない店がGoogleに出てこなかったのと同じ構造である。

 

電通Gなどのグローバル広告企業(Omnicom/IPGPublicisWPP 等)が自社開発するAIプラットフォームを導入する広告主における「利用費」は広告費として計上されるものか、コンサルフィーなのか、IT・AI利用費(トークン)なのか。この認知が変われば、投資先の流れも変わる。ここに、「AIアテンションエコノミー」の新しい景色がある。

GEO/LLMO・AIエージェントへ流れる「別腹の財布」 ―― 広告費が縮まず膨らんだ理由


【図1】5大プラットフォーマー企業の「広告」収益推移(各社IR発表等より筆者集計 一律1ドル=150円換算)

■プラットフォーマー5社で広告収益、3年で31兆円超の純増の衝撃

「生成AIが普及すれば、検索広告は減る」――2024年頃から、そうした見方が市場を支配していた。AI Overviews が検索結果の上位を占有し、ユーザーは企業サイトやデジタル広告をクリックしなくなる。いわゆる「ゼロクリック検索」が進み、広告露出の課金は痩せていく。そのはずだった。

 

ところが、いま起きているのは“ま逆”の現象である。Alphabet、Meta、Amazon、Microsoft、TikTok の5社が直近の3年間で積み上げた「広告」関連収益は、合算で約60.7兆円(4,046億ドル)から、約92.3兆円(6,152億ドル)へ、約31.6兆円(2,106億ドル)もの激増が起きている(図1)。上記の成長は、AWSやGoogleCloudなどのクラウド事業やEC事業を除いた「広告収益」に絞った金額だけで、これだけの巨額に達している。

 

電通の「日本の広告費」によれば、日本の総広告費は2025年時点で約8.1兆円だった。つまり、たった5社が3年で積み上げた広告純増分だけで、日本の広告産業まるごと4年分の規模が新たに生まれた。

 

これは「米国の広告が好調」という対岸の出来事ではない。広告予算という「財布そのものの定義」が変わりつつあると読める。新しい「AIアテンションエコノミー」だ。

 

■広告費が「別腹の財布」で膨らむ

図1のとおり、各社がプラス30%〜100%で成長する一方で、Google Networkセグメント(AdSenseなど旧来型のサードパーティ広告誘導課金)は3年でマイナス9.1%縮小となっている。ゼロクリック化の影響を受けているのは、まさにこの旧来広告の部分だ。つまり、同一プレイヤーの中で、旧来の広告誘導モデルは痩せ、AIにより近い広告費が太っている。広告市場全体が縮んでいるのではなく、重心がシフトしている。

 

その上で、上振れ分はどこから流れ込んでいるのか。ひとことで言えば「別腹の財布」である。日本では、まだこれらを全部まとめて「AI最適化を急げ」として議論している段階にあるが、米国ではGEO/LLMOAIエージェントなど別々の予算ラインで運用する段階に入った。

 

■仕分けが難しい「新しいタイプの広告費」が出現

新しい広告予算の最初の出口は、「AIに自社を上位で覚えさせる」「AIの回答面に出させる」ためのコストである。検索結果で上位に出ることではなく、AIエージェントの選択肢に入ることが新たな目標指標になる。

 

SEOの時代は「人間にとって読みやすいWebページ」を作る作業だった。だがエージェント時代は、MCPサーバーが「(人間をとばして)AIに直接データを流し込む」役割を持つ。MCP対応していない企業の商品は、AIエージェントから見えない。検索エンジンに登録されていない店がGoogleに出てこなかったのと同じ構造である。

 

電通Gなどのグローバル広告企業(Omnicom/IPGPublicisWPP 等)が自社開発するAIプラットフォームを導入する広告主における「利用費」は広告費として計上されるものか、コンサルフィーなのか、IT・AI利用費(トークン)なのか。この認知が変われば、投資先の流れも変わる。ここに、「AIアテンションエコノミー」の新しい景色がある。

.card-excerpt{ display: -webkit-box; -webkit-line-clamp: 2; -webkit-box-orient: vertical; overflow: hidden; }