テレビグループ
グループマネージャー
2000年ビデオリサーチ入社。
調査部門、営業部門、サービス開発部門、JIAA出向を経て、2022年より現職。現在はテレビ視聴率事業の統括並びにテレビ・動画関連サービス開発に従事。
2026年も既に2か月が過ぎ、まもなく春が訪れようとしています。2026年は世界的なスポーツイベントが続くことは皆様ご存じの通りで、2月に開催されたミラノ・コルティナ冬季オリンピックでは日本選手団が冬季五輪過去最多のメダルを獲得したことは記憶に新しく...
~放送×配信で求められる評価軸とは~
■放送視聴の実態
2026年も既に2か月が過ぎ、まもなく春が訪れようとしています。2026年は世界的なスポーツイベントが続くことは皆様ご存じの通りで、2月に開催されたミラノ・コルティナ冬季オリンピックでは日本選手団が冬季五輪過去最多のメダルを獲得したことは記憶に新しく、関連番組を含め、放送で開会式を視聴したのは全国で3476.3万人に達するなど大きな盛り上がりを見せました。3月にはワールド・ベースボール・クラシック、6月にはFIFAワールドカップ北中米大会の開催が予定されており、日本中が熱気で包まれることになるでしょう。
こうしたスポーツイベントは、そのライブ感・リアルタイム性により、多くの方の視聴を集めることになります。同時に多くの方と緊張や感動を分かち合えることが、人々を惹き付ける要因となっているのでしょう。実際に、2025年の関東地区年間視聴率ランキングにおいて、MLBや世界陸上がトップ10にランクインしているほか、FIFAワールドカップ予選も高い視聴率を獲得しました。(図1)また、ここ数年大型スポーツイベントが続いており、2021年東京オリンピック、2022年北京オリンピックやFIFAワールドカップカタール大会、2023年ワールド・ベースボール・クラシック、2024年パリオリンピックと毎年世界的なイベントが開催され、多くの人の関心を集めることになりました。事実、世の中の動向を表す視聴率でみてみると、2021年以降の関東地区年間視聴率トップ30において、2024年を除き、いずれの年もトップ30の7割弱をスポーツコンテンツが占める結果となっています。(図2)2024年も4割をスポーツが占めましたが、能登半島地震、株価高騰・円安、南海トラフ地震臨時情報初発表、石破内閣誕生、衆議院選挙など、災害・経済・政治で大きな動きがあったことで報道のシェアもスポーツ同様約4割を占めることになりました。
図1:2025年視聴率ベスト30
地区;関東地区
特性;個人全体
対象;2025年1月1日~12月31日に放送した15分以上の番組
図2:視聴率ベスト30における番組ジャンル割合の変化
地区;関東地区
特性;個人全体
対象;各年1月1日~12月31日に放送した15分以上の番組
■配信視聴の実態
ところで、年間トップ30に占める各ジャンルの割合をみると、以前に比べドラマやバラエティの比率が落ちていることに気付きます。2020年にドラマが16%、その他の娯楽番組が39%となっていたものが、2025年ではドラマが7%、その他の娯楽番組が10%と大きくシェアを落としているのがわかります。これは前述した世界的スポーツコンテンツの影響もありますが、それと同時に、視聴者の視聴行動の変化も大きな要因であると考えられます。
例えば、ビデオリサーチが2026年1月22日にリリースした「2025年に一番見られたテレビ番組は?」の記事において、2025年の見逃し配信ランキングが掲載されています。その結果を見ると、トップ10はドラマコンテンツが8つ、バラエティが2つとなっており、TBSの「じゃあ、あんたが作ってみろよ」、「水曜日のダウンタウン」が500万回を超える再生数を記録しています。また、TVerが2026年1月9日にリリースした記事では、2025年12月の月間ユーザー数と動画再生数がいずれも過去最高を更新と発表されており、動画視聴が年々拡大している傾向が見られます。
実際に、ビデオリサーチのSTREAMO(※)で関東地区11月の自宅内デバイス別動画利用リーチをみてみると、CTVで全体の約3割、スマートデバイスで全体の約5割の方が動画を利用しており、視聴者の動画配信視聴が一般化・習慣化し始めていることが伺えます。(図3)
※STREAMOは、ビデオリサーチが提供する、テレビ視聴と各種デバイスにおける動画配信サービス利用を、同一サンプルで把握できる視聴データサービスです。
図3:STREAMOによる各デバイスの動画利用リーチ
地区;関東地区
特性;個人全体
集計期間;2025年11月3日~11月30日
集計対象;動画利用計
集計対象サンプル:TVデバイス=STREAMO全体
スマートデバイス(SD)=SD協力者
※参考:https://www.videor.co.jp/press/2026/260122.html
■放送と配信の関係性
このように視聴者の視聴行動が変化している中で、放送と配信の棲み分けを正しく把握することが重要となります。
放送は「ライブ性」が重視され、スポーツ、経済、選挙などの社会的関心が高いイベントでは、放送が圧倒的な到達力を発揮します。これらは同時視聴・共視聴が発生しやすく、「一体感」「リアルタイム性」がポイントとなります。一方、配信はドラマ、バラエティ、アーカイブ視聴など個々人が「見たいものを選ぶ」行動が中心となります。また、SNSの記事をきっかけに見逃し配信視聴に繋がるなど、話題性・SNS連動型の番組が強い傾向も見られます。
一見すると放送と配信は相反する関係であるように見えますが、対立軸ではなく補完関係にあると考えています。人々の趣味嗜好が分散し、視聴経路が多様化する中で、それぞれの役割分担が明確になりました。放送はライブ性・同時性・社会的共有を通じた体験の共有。配信は個人最適化とオンデマンド。それぞれが役割を果たすことで、同じ環境・同じ時間帯で共存できているのです。なお、この共存をさらに深めるにあたり、キーとなるのがCTVです。CTVは「放送体験」と「配信体験」の交差点であり、放送視聴者がそのまま配信にも接触、配信ユーザーが放送に回帰する動線を生み出します。若年層を中心にテレビデバイスへの接触が低下しているものの、CTV接触を起点に放送視聴が増える事例も確認できています。
■放送×配信時代に求められる評価指標
放送と配信に視聴が分散すると、コンテンツ(番組・広告)を評価する指標も変わります。放送・配信が補完関係にあるのであれば、それぞれの評価だけでは視聴の全体像が捉えられず不十分と言わざるを得ないため、双方の関係性を明らかにするための評価軸が求められます。視聴の多様化が進む中で、そのコンテンツが「どれだけ届いたか(量)」「どのように見られたか(深さ)」「どう受け取られたか(質)」を総合的に把握することが重要になるのです。
「量」を示すには放送と配信の統合リーチ(トータルリーチ)を算出することが重要で、「テレビか配信か」ではなくコンテンツの接触全体を示すことが正しく価値を把握することになります。「深さ」は視聴時間、視聴頻度でそのコンテンツに対する関心度を示すことができます。「質」は共視聴、注視率、番組評価、SNSの盛り上がりなど様々な要素を組み合わせることで表現することが可能です。特に共視聴は配信1impにおける価値拡張に繋がる指標であり、通常の配信指標では捉えられないCTVの付加価値を示すことが可能になります。
放送、配信の視聴実態把握に加え、新たな価値の可視化には様々な要素が必要となりますが、現在、ビデオリサーチでは上記に挙げた各要素を提供できる体制を整えています。しかし、統合指標の開発や個人視聴の可視化においてまだまだ多くの課題が存在しており、それらのベースになる視聴データ整備、生活者研究をより一層改善・拡張していく必要性を感じています。これからも皆様の課題解決・事業創造に資するサービス提供に向け、様々な取り組みを進めてまいります。







