2023年電通入社、関西オフィス所属。人の感情の正体に関心を持ち研究に取り組んできた経験を起点に、現在はマーケティングプランナーとして従事。入社後に学生向けプランニングを担当したことをきっかけに、若者特有の心理や感覚、自由な発想への関心を深め、電通若者研究部「ワカモン」(電通ワカモン)に参画。レジャー施設や女性向け消費財のメディアプランニング、商業施設の販促領域などを担当している。
最近、ガチャガチャやシール、目印チャーム、ブラインドボックスと呼ばれる開封型フィギュア、さらにはトレーディングカードなど、あらゆるものを集める動きがよく話題に上る。
若者はなぜ“集める”のか?
―収集の背後にある意味と実感―
最近、ガチャガチャやシール、目印チャーム、ブラインドボックスと呼ばれる開封型フィギュア、さらにはトレーディングカードなど、あらゆるものを集める動きがよく話題に上る。新作が出るたびに人が集まり、時には行列ができたり、高値で取引されたりすることも少なくはない。こうした光景は子どもに限らず、学生や社会人を含めた若年層にまで広がっている。
人は本能的に収集欲を持つと言われるが、こうした行動には、それだけでは説明しきれないほどの熱量を感じる。若年層の収集癖の背景には、単に「欲しいから」「好きだから」だけではない理由があるのではないか。
一例として、御朱印集めでは、その違和感がはっきりと表れる。今や趣味として広く定着しているが、神社を巡ること以上に、御朱印を集めること、さらには御朱印帳を埋めること自体が目的になっているように感じる。この場合、収集という行為そのものが、自分の趣味や関心を表す手段として成立している。
こうして見ていくと、収集は単なる行為ではなく、行為に意味を与える仕組みとして機能している側面がある。何かを集めることで一連の行為に目的が生まれ、「無駄ではない」と安心できる状態がつくられる。さらに、集まっていく過程が可視化されることで、その実感もより強まる。
こうした感覚は、個人だけの問題ではない。時代とともに、自分らしさや「好きなこと」を持つことが求められるようになり、推し活などを通じて、それを言葉や行動で示す場面も増えている。何かに没頭していること自体が価値として受け止められる中で、没頭できる対象がない状態に落ち着かなさを感じることもあるのではないか。
収集は、そうした状況の中で、自分の関心や時間の使い方に形を与える行為でもある。何を集めているか、どれだけ続けているかが、そのまま自分の関心を示す手がかりになる。
ただし、その熱量の高さは、単なる意味づけだけでは説明しきれないように思える。そこには別の側面もあるのではないか。
もう一つの見方として、収集は「没入」のための行為として捉えることもできる。自分ではない何かに時間やお金、意識を投じることで、その対象に深く関わる。そうした状態は、現実の自分から一時的に距離を置く感覚にもつながり、日常のストレスから逃れる役割さえ担っているのかもしれない。
若者の収集行動の背景には、自分の行為に意味を見出したいという感覚と、自分以外の何かに没入したいという感覚が、同時に存在しているのかもしれない。単なる流行としてではなく、その背景に目を向けてみると、若者の行動はまた違った輪郭として浮かび上がってくる。本稿はあくまで一つの仮説に過ぎないが、そうした視点の積み重ねが、より深い若者理解につながっていくのではないだろうか。
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