「宮武さんって、なんかずっと人のことを分析しているよね」。先日、飲み会で先輩に言われた。思い返せば、子どもの頃から人の言葉や行動の理由を考えるのが好きだった。そして今は、それがすっかり職業病にもなっている。
会いに行くことで触れられる温度
「宮武さんって、なんかずっと人のことを分析しているよね」。先日、飲み会で先輩に言われた。思い返せば、子どもの頃から人の言葉や行動の理由を考えるのが好きだった。そして今は、それがすっかり職業病にもなっている。
興味の赴くまま広告の世界に入り、最初に配属されたのはデータアナリストだった。がむしゃらに統計を学びながら、顧客データを読み解く日々のなかで、気づいたことがある。
数字って究極、「多いか少ないか」しか、表現できないんだな。
──このセグメントは反応が良くて、こっちは悪い。その理由は?自分の推測の範疇で、取りこぼしているものはないか?どこにターゲットの“ツボ”がある?
どこまでいっても、数字はその真意を完全には教えてはくれないのだ。
もやもやしていた1年目の私に、鮮やかな答えをくれたのは当時のOJTの先輩だった。
「現場を見に行こう!」
その経験は、私の原点となった。百聞は一見に如かず。この目で見ることで、ターゲットの解像度が一気に高まる。だから私は今も“会いに行く”ことをモットーにしている。
初めて担当した商業施設には、平日も休日も何時間も張り込んでお客さんの動向を観察した。スケボーの案件を担当することになった時には、経験ゼロの自分では想像が追いつかず、スケボーをやっている友人を探しだして根掘り葉掘り話を聞いた。
──ああ、このお客さんなら、きっとこの施策を喜んでくれるな。
直接自分の目と耳で確認することの良さは、データの解釈ができることだけではない。ターゲットの”温度”を直に感じられるのだ。だからこそ、自信を持って提案できる。
その経験はさらに、「わかものがかり」という社内プロジェクトの立ち上げによって、より多くの人を巻き込む機会を得た。若年層集客に課題を持つクライアントに対し、実際に“わかもの”を連れてきて、一緒に話しながら解決策を考える取り組みである。
このプロジェクトを通して、顧客の高齢化に悩む飲食店クライアントは、大学生と話して意外な来店ハードルを発見することができた。ファン層を広げたいレジャー施設クライアントは、大学生に特に刺さる展示のヒントを得て企画を磨き上げることができた。
「よくわからない」相手でも、実際に会い、話し、表情を確認することで、「この人はきっと喜んでくれる」という確信が持てるまでになる。その体験が、積極的な告知や自信のある提案につながり、良い循環が生まれていく。
データは、人々の反応や行動が姿を変えたものだ。数字の上下を日々追っているとつい忘れそうになるが、その奥には日常を生きる生身の人間がいる。数値でさまざまな感情や行動が表現でき、AIが多量の情報を提供する時代だからこそ、私は “会いに行く”姿勢にこだわりたい。そうやって人を知り、人の喜びを作る仕事をしていきたい。








