ストラテジスト
東京、ロンドン、パリ。3つの都市で、マルチナショナル・クリエイティブエージェンシーのストラテジックプランナーとして20年ほど勤務。
異なる文化をつなぐコンサルタント。
1975年4月30日サイゴンが陥落し、南北統一から50年という節目を迎えたベトナム社会主義共和国。終戦後は、ドイモイ政策などを掲げ、「計画経済」から「市場経済」への転換を目指し、アジアでも群を抜く高成長と安定性を示してきた。
「ゴミ」インフルエンサー:パリ市の清掃員がTikTokスターに

パリでは毎日3000トンのゴミが、約5000人の清掃員によって回収される。ルードヴィック・フランセシェはその中でも、歩道や道路沿いの公園・街路樹まわりに落ちているゴミを一つ一つ拾う清掃員である。毎日14キロメートルの行程を単調な動作を一日中くりかえしながら歩くこの清掃員は、あまりのゴミの量に危機感を感じて5年ほど前からTikTokでゴミ拾いの日常を共有している。清掃前と清掃後、セーヌ川に磁石を投げ入れて「釣れた」物、休日に個人的にやっているゴミ拾い活動などをまとめたビデオを通してゴミと清潔意識の現実を見せながら、意識改革を訴えている。若者を中心に41万人以上のフォロワーを持ち、2024年末に行われたTikTok Awardsで名誉賞を受賞した。

本来全く気に留めることのない、清掃員という仕事でありながら、すっかり有名人となったルードヴィックさん。パリオリンピックでは聖火リレー走者に指名されたり、清掃中に声をかけられ一緒にセルフィ―を求められることもある。そんなルードヴィクさんは、いつものようにゴミを拾いながら「市民がゴミを減らそう、ちゃんと捨てようという意識をもってくれないと、いくら拾っても、パリのゴミは減らない。道もきれいにならない。」と語る。そして、ゴミを減らすことは、地球環境をきれいにすることだと訴え、たばこの吸い殻のポイ捨てをやめさせるための新しいプロジェクトを立ち上げている。

CHRISTINE DUMAS/L'EST REPUBLICAIN/MAXPPP
ゴミ問題はフランスに限らずヨーロッパ全体でも切実な問題である。住民一人当たりの包装ゴミ排出量は、2020年から2021年にかけてのたった1年で、10㎏以上も増え、188.7㎏という数字が出ている。(Eurostat)
ルードヴィクさんのインフルエンサーそして清掃員としての仕事は、当分の間なくなることはなさそうだ。
<参照文献>