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榮枝 洋文

榮枝 洋文

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表

海外現地法人のマネジメント歴18年(中国・広州/香港、北米・ロサンゼルス/ニューヨーク)。アサツーディ・ケイ現地法人ADK America (WPP Group)のCFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。ニューヨークの最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

共著に『広告ビジネス次の10年』『2030年の広告ビジネス』(翔泳社)がある。

過去のFresh EYEコンテンツは下記から読むことができます。
2023年4月からはこちら過去のFresh EYEへ

日本で2025年4月よりAmazon PrimeVideoの番組コンテンツに広告(CM動画)が挿入される。欧米では2024年からテスト開始されたが、いよいよ日本市場だ。

Amazon Prime Videoの広告表示はリテールメディアの「セラー市場」「ノンエンデミック」領域拡大へ


■広がる「ノンエンデミック広告」市場

日本で2025年4月よりAmazon PrimeVideoの番組コンテンツに広告(CM動画)が挿入される。欧米では2024年からテスト開始されたが、いよいよ日本市場だ。広告を「非表示する」選択メニューは月額390円(年間5,000円弱)が追加なので、仮に日本市場の約2,000万件のアマプラユーザーの1割が値上げメニューに切り替えると約100億円の増収になる。

 

ユーザ個人のアレコレ感触視点だけではなく、広告主の立場からグローバルのAmazonプラットフォームのビジネス(マクロのエコシステム)の変化を考えておこう。「テレビCMよりもアマプラCM」のシフトは当然発生しうる。大手のテレビ広告主だけではなく、テレビCMを使えなかったスタートアップ企業や中小企業がデジタル配信での小セグメント向けCM出稿が可能でハードルが下がってくる。オプトインによる視聴データは旧テレビ放映の比ではない。

 

2024年4月の投稿で「リテールメディアの場所はお茶の間・リビングに」と紹介した意味合いが加速する。今回は、IABが提唱した「ノンエンデミック」という「既存の店内や自社Webサイトでは扱ってない商品(の広告)」の領域を紹介しておこう(図1)。このノンエンデミック領域への広がりの典型的がアマプラCM(への解放)である。

‍図1

 

■Amazonが「セラー市場」にクルマの販売を解放

2025年年初からAmazonは、自らクルマを販売するのではなく、第三者ディーラーに「マーケットプレイス」の仕組みを提供を始めた。第一弾としてHyundai車の販売から開始している。

 

単に「Amazonがクルマを売り始めたぞ」ではなく、リテール業態における「セラー市場への投資(と解放)」の根底に気づきたい。セラー市場への投資とは、セラーとバイヤーを結び付けるマーケットプレイステクノロジーへの先行投資や、フルフィルメント施設(セラーの荷受けから配送機能)の拡充を指す。AmazonのEC事業やリテールメディア事業の伸びとは、この「セラー市場」への事前投資を、水面下で着々と基盤構築として進めた結果が見えて来たのだ。

 

さあ、この基盤の上にPrime Videoのプレミアムな広告枠が提供され、Huyndaiディーラーによる販促CMが投下される。クルマだけではなく、ノンエンデミックな(Amazonでは取り扱わないような)医療や保険や金融などの巨額産業も連動シフトする。AmazonはリニアTVとストリーミングTVの広告を統合管理できるDSPの「Complete TV」も今年3月に発表している。

 

JAAA読者は「広告非表示」の回避選択よりも、ひとまずどのような産業の広告が流れ込むかの「広告表示」を前向きに目視する機会としよう。 

Amazon Prime Videoの広告表示はリテールメディアの「セラー市場」「ノンエンデミック」領域拡大へ


■広がる「ノンエンデミック広告」市場

日本で2025年4月よりAmazon PrimeVideoの番組コンテンツに広告(CM動画)が挿入される。欧米では2024年からテスト開始されたが、いよいよ日本市場だ。広告を「非表示する」選択メニューは月額390円(年間5,000円弱)が追加なので、仮に日本市場の約2,000万件のアマプラユーザーの1割が値上げメニューに切り替えると約100億円の増収になる。

 

ユーザ個人のアレコレ感触視点だけではなく、広告主の立場からグローバルのAmazonプラットフォームのビジネス(マクロのエコシステム)の変化を考えておこう。「テレビCMよりもアマプラCM」のシフトは当然発生しうる。大手のテレビ広告主だけではなく、テレビCMを使えなかったスタートアップ企業や中小企業がデジタル配信での小セグメント向けCM出稿が可能でハードルが下がってくる。オプトインによる視聴データは旧テレビ放映の比ではない。

 

2024年4月の投稿で「リテールメディアの場所はお茶の間・リビングに」と紹介した意味合いが加速する。今回は、IABが提唱した「ノンエンデミック」という「既存の店内や自社Webサイトでは扱ってない商品(の広告)」の領域を紹介しておこう(図1)。このノンエンデミック領域への広がりの典型的がアマプラCM(への解放)である。

‍図1

 

■Amazonが「セラー市場」にクルマの販売を解放

2025年年初からAmazonは、自らクルマを販売するのではなく、第三者ディーラーに「マーケットプレイス」の仕組みを提供を始めた。第一弾としてHyundai車の販売から開始している。

 

単に「Amazonがクルマを売り始めたぞ」ではなく、リテール業態における「セラー市場への投資(と解放)」の根底に気づきたい。セラー市場への投資とは、セラーとバイヤーを結び付けるマーケットプレイステクノロジーへの先行投資や、フルフィルメント施設(セラーの荷受けから配送機能)の拡充を指す。AmazonのEC事業やリテールメディア事業の伸びとは、この「セラー市場」への事前投資を、水面下で着々と基盤構築として進めた結果が見えて来たのだ。

 

さあ、この基盤の上にPrime Videoのプレミアムな広告枠が提供され、Huyndaiディーラーによる販促CMが投下される。クルマだけではなく、ノンエンデミックな(Amazonでは取り扱わないような)医療や保険や金融などの巨額産業も連動シフトする。AmazonはリニアTVとストリーミングTVの広告を統合管理できるDSPの「Complete TV」も今年3月に発表している。

 

JAAA読者は「広告非表示」の回避選択よりも、ひとまずどのような産業の広告が流れ込むかの「広告表示」を前向きに目視する機会としよう。