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榮枝 洋文

榮枝 洋文

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)/ニューヨークオフィス代表

海外現地法人のマネジメント歴18年(中国・広州/香港、北米・ロサンゼルス/ニューヨーク)。アサツーディ・ケイ現地法人ADK America (WPP Group)のCFO兼副社長の後、株式会社デジタルインテリジェンス取締役を経て現職。ニューヨークの最新動向を解説する『MAD MAN Report』を発刊。米国コロンビア大学経営大学院(MBA)修了。

共著に『広告ビジネス次の10年』『2030年の広告ビジネス』(翔泳社)がある。

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リテールメディア広告と呼称される話題があふれるが、何やら「店内メディア」に閉じた概念に偏っている感がある。

リテールメディア広告の場所とは「お茶の間・リビング」


リテールメディア広告と呼称される話題があふれるが、何やら「店内メディア」に閉じた概念に偏っている感がある。旧来から存在していた「店内POP、棚、チラシ広告」等がLEDディスプレーでデジタル化されても店内メディアには変わりない。他チェーン店と協力して店内メディア同士をデジタル・ネットワーク化されていても、ECサイトでのバナーやスポンサード広告に接続しても、「店内メディア情報」に閉じた概念だ。

 

 Amazonのメディア広告の受注額は6兆円(469億ドル、2023年)を超えたり、Walmartは5,000億円級(34億ドル、同年)に達したりと、その金額と伸長率への注目が集まる。この注目される米国リテール2社は数字よりも「ストリーミング番組コンテンツ」が密接に結びつき、家庭のリビングにあるスマートTV画面に広告商品がコネクテッドされる背景に注目しておこう。

 

■WalmartがコネクテッドTVメーカーを買収

 そのシグナルとして2024年2月に、WalmartがコネクテッドTVメーカーの全米大手の「Vizio」の買収を約3,450億円(23億ドル)で買収する発表をした。これは単にWalmartがテレビメーカーのVizioをPB化して販売する買収ではなく、リテーラーのWalmartが「自社コネクテッド・デバイス」をリビングに持つ戦略だ。まるでAppleがiPhoneをもつかのようなインパクトを起こす。通常のテレビ番組を見る際に、リテーラーでの販売のブランド商品との連動が始まった元年とも言える。

 

 Vizioは、購買者1,850万件の「SmartCast」の広告付き番組チャンネルのストリーミング視聴アカウントをもつ。Walmartはこの家庭とのコネクテッド口座を1世帯あたり約2万円で買収した勘定だ。技術的には「ACR(Auto Content Recognition:コンテンツ自動認識)」という機能を覚えておこう。SmartCastアカウントの世帯は、Vizio受像機で何を見ているか(ゲームをしているのか、Netflixの映画を見ているのか)がオプトインのIDでWalmartの広告プラットフォームと繋がる。「エンドレス・アイル(陳列棚の無限拡大)」が、実店舗やECサイトだけでなく、リビングのテレビや手元のスマホと連携して広がったのだ。

 

日々のたとえ話として、Vizio受像機をスイッチ・オンすれば、最寄りのWalmartの「今日のお買い得品」がチラシのごとく登場する。仮に日本ならばNHKの「スキー番組」を視聴していたとして、同時に手元に持っているスマホIDに番組タレントが着ているスキーウエアの広告を出稿することが可能になる。もちろんテレビ画面側にもサイド・バナーの露出が可能だけでなく、動画広告も配信可能だ。

 

個人情報の厳格管理とともに、ブランド・セーフティーに関心がある企業の(テレビ)広告が増えてくる。Walmartの「リテールメディア・プラットフォーム」が、まるでテレビ局の広告営業とAmazonプライムのような宅配機能を持つイメージだ。ブランドや広告企業はこの新エコシステムを理解した上で、日本で次に起こり得る示唆とした。

 

リテールメディア広告の場所とは「お茶の間・リビング」


リテールメディア広告と呼称される話題があふれるが、何やら「店内メディア」に閉じた概念に偏っている感がある。旧来から存在していた「店内POP、棚、チラシ広告」等がLEDディスプレーでデジタル化されても店内メディアには変わりない。他チェーン店と協力して店内メディア同士をデジタル・ネットワーク化されていても、ECサイトでのバナーやスポンサード広告に接続しても、「店内メディア情報」に閉じた概念だ。

 

 Amazonのメディア広告の受注額は6兆円(469億ドル、2023年)を超えたり、Walmartは5,000億円級(34億ドル、同年)に達したりと、その金額と伸長率への注目が集まる。この注目される米国リテール2社は数字よりも「ストリーミング番組コンテンツ」が密接に結びつき、家庭のリビングにあるスマートTV画面に広告商品がコネクテッドされる背景に注目しておこう。

 

■WalmartがコネクテッドTVメーカーを買収

 そのシグナルとして2024年2月に、WalmartがコネクテッドTVメーカーの全米大手の「Vizio」の買収を約3,450億円(23億ドル)で買収する発表をした。これは単にWalmartがテレビメーカーのVizioをPB化して販売する買収ではなく、リテーラーのWalmartが「自社コネクテッド・デバイス」をリビングに持つ戦略だ。まるでAppleがiPhoneをもつかのようなインパクトを起こす。通常のテレビ番組を見る際に、リテーラーでの販売のブランド商品との連動が始まった元年とも言える。

 

 Vizioは、購買者1,850万件の「SmartCast」の広告付き番組チャンネルのストリーミング視聴アカウントをもつ。Walmartはこの家庭とのコネクテッド口座を1世帯あたり約2万円で買収した勘定だ。技術的には「ACR(Auto Content Recognition:コンテンツ自動認識)」という機能を覚えておこう。SmartCastアカウントの世帯は、Vizio受像機で何を見ているか(ゲームをしているのか、Netflixの映画を見ているのか)がオプトインのIDでWalmartの広告プラットフォームと繋がる。「エンドレス・アイル(陳列棚の無限拡大)」が、実店舗やECサイトだけでなく、リビングのテレビや手元のスマホと連携して広がったのだ。

 

日々のたとえ話として、Vizio受像機をスイッチ・オンすれば、最寄りのWalmartの「今日のお買い得品」がチラシのごとく登場する。仮に日本ならばNHKの「スキー番組」を視聴していたとして、同時に手元に持っているスマホIDに番組タレントが着ているスキーウエアの広告を出稿することが可能になる。もちろんテレビ画面側にもサイド・バナーの露出が可能だけでなく、動画広告も配信可能だ。

 

個人情報の厳格管理とともに、ブランド・セーフティーに関心がある企業の(テレビ)広告が増えてくる。Walmartの「リテールメディア・プラットフォーム」が、まるでテレビ局の広告営業とAmazonプライムのような宅配機能を持つイメージだ。ブランドや広告企業はこの新エコシステムを理解した上で、日本で次に起こり得る示唆とした。