第12回
「未定年」世代となった
団塊ジュニアの新・消費行動とは?
●人口の大票田「団塊ジュニア」が、
大量「未定年」世代に
校舎はプレハブ、教室はぎゅうぎゅう詰め、人数が多いゆえの人生経験を持つ団塊ジュニア世代。1971年から1974年に生まれ、毎年の出生数は200万人にも上り、合計800万人を超える人口ボリュームゾーンです。そんな彼らは2024年、50歳から53歳を迎えます。企業戦士としては60歳定年まで10年を切り、「60歳以降をどう生きるか」を考える「未定年世代」となりました。
「未定年」とは、博報堂シニアビジネスフォースが定義づけた、40~50代を中心に定年が視野に入る世代のことです。発信する未定年層マーケティングのひとつが、2023年6月発刊の拙著『未定年図鑑~定年までの生き方コレクション~』(中央経済社)です。50代を中心とした未定年ロールモデルとなる27名を取材、国家資格キャリアコンサルタントの知見とコピーライターのスキルを掛け合わせ、定年前の心構えや準備行動を提案しました。
●団塊ジュニア未定年の「勉強消費」とは
では『未定年図鑑』における団塊ジュニアのロールモデルには、どんな特徴が見られるでしょうか。ひと言で表すと「負けず嫌いの勉強好き」です。団塊ジュニアは競争相手が多いため、受験・就職・出世競争と常に競い続けてきました。そのせいでしょうか、すぐ上の世代である50代後半から60代に比べて、勤勉かつ高い戦闘意欲が自然と身に付いている印象です。さらに昨今の頻出ワード「リスキリング」の影響もあり、勉強意欲に拍車がかかっています。勉強の動機は、60歳以降も働くためのスキルアップ、50代の転職にチャレンジする、新しい仕事=ネクストキャリアをめざす等さまざま。そのために現業の仕事と並行して社会人大学院や資格取得の学校に通っています。終身雇用制度は終焉を迎え、定年後は悠々自適、という生き方は望めないことを敏感に自分ごと化し、焦りと不安を抱えながらも行動している、それが団塊ジュニア未定年です。
●リスキリング・ブームと共に「勉強消費」の市場化
岸田首相は2022年10月3日の所信表明演説で、個人のリスキリング(スキルのアップデート)支援として、人への投資に5年間で1兆円を投じると表明しました。成長分野への労働移動推進です。社会保障制度の改革や高齢者雇用の法改正は「元気なうちは働いて」という国からのメッセージと受け取れます。こういった社会の変化を背景に、団塊ジュニア未定年による「勉強消費」は今後さらに加速するのではないでしょうか。