第9回　老化細胞を殺して「健康年齢120歳」時代！
5年後には、シニア市場が爆発する？

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今、シニア市場が最大の関心事とすべきなのは、医学的なアンチエイジング。美容上のエイジングケアではない、あくまでも医学が若返りや老化防止についに本気になったという事実なのである。厳密に言うなら「老化は克服できる」つまり「人はやがて歳を取らなくなる」そういう可能性をベースに、今急ピッチで研究が進んでいるのだ。

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本来が人間は大病しなければ120歳まで生きられるとされてきたが、老化予防医学が進めば、120歳は当たり前となり、やっと生きているのではない、健康寿命自体を120歳まで伸ばせるという研究成果が見えているのだ。こうした抗加齢医学の象徴的存在となったのが、米国ハーバード大学のシンクレア教授。著書『LIFE SPAN（ライフスパン）[老いなき世界]』で展開した「老化は病気であり治療ができる」という主張であった。

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ここで紹介された、人間なら60歳に相当するマウスに１週間投与したら20代相当に若返ったという物質、NMN（ニコチンアミドモノヌクレオチド）はすでにサプリが一大ブームとなっているが、NMNの含有量や品質がピンからキリまであることが逆に問題視されているほど。驚くべきはこの教授の父親が70代半ばなのに、20代の活動能力を取り戻したという嘘のような話。体力も気力も脳まで若返りを感じたというのである。

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一方で、老化細胞を殺す薬セノリティクスは既にヒトを対象にした臨床試験が始まっており、世界的に注目を浴びているが、更なる方法を模索する動きも活発で、まるで宇宙開発のように各国が不老不死の創薬に莫大な資金をかけて凌ぎを削る時代が来つつあるのだ。

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もちろん日本の研究者も熱心で、東京大学医科学研究所では、種類の異なる老化細胞を一度に取り除く世界初の除去薬の開発を進めていて、大きな期待を集めている。

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いずれにせよ10年後には……と言われていた“老化させない治療”のスタートはどんどん早まり、5年後には現実となるかもしれず、そうなれば120歳まで40代50代のような生活をしている可能性が出てきたのだ。とすればシニア市場は劇的に変わる。いや変わらなければならなくなる。1つの想定として、人間が肉体的に50歳以上は歳を取らなくなり、そのまま120歳まで生きるとしたら、一体どんな風に生きるのか、早急に想定していかなければいけなくなるが、そこにはやはり不安と期待が混じり合う。

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そもそも人生100年と言われた時、寿命が延びたことで一旦は歓喜するものの、ややあって、そんなに生きて体力的に大丈夫？経済的に大丈夫？という不安が押し寄せた。これで体力的な不安はなくなるものの、120年まで活動する時、経済的にはどうなるのか？働かなきゃならなくても働く場所はあるのか、AIが人間にとって変わる時代、本当に大丈夫なのかという恐怖が生まれる。ましてや50歳以上の人口は膨れ上がるばかり。そうした懸念はあるものの、時の流れはもう止められない。社会はこの新しい健康寿命に合わせて変わっていかなければいけないのだ。

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いずれにせよ、これまで想像もしなかった巨大で未知なるシニア市場が始まる。ファッションも健康美容も、旅行や習い事などの趣味も、いや住居も流通も何もかもが予想もつかない拡大を見せること、今から想定すべきなのだ。まさに想像を絶するほどのシニア史上最強時代がやってくることを！

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