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※行政マガジン「ジチタイワークスVol.27」に詳細を掲載

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株式会社ジチタイワークス マガジン編集室

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自治体職員向けに、仕事につながるヒントやアイデア、事例などを紹介する行政マガジンです。自治体運営における業務改善のヒントの提供や自治体向けに事業を展開したい民間企業をサポートします。

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地域が抱える課題を、企業とともに解決するワーケーションプログラムを独自で開発している鹿追町。民間との協働で事業の持続性を模索しつつ、閑散期の観光業にもメリットをもたらす取り組みについて、担当者に話を聞きました。

Vol.70
北海道鹿追町×地域課題解決型ワーケーション

地域が抱える課題を、企業とともに解決するワーケーションプログラムを独自で開発している鹿追町。民間との協働で事業の持続性を模索しつつ、閑散期の観光業にもメリットをもたらす取り組みについて、担当者に話を聞きました。


観光と畑作・酪農を主産業とする同町。家畜のふん尿処理と臭気対策を目的にバイオガスプラントを建設するなど、観光環境の改善を図るとともに、脱炭素化への道を歩みはじめていた同町。

 

令和元年からは、北海道庁が推進するワーケーションの実証実験に参画。その頃、同町にはいくつかの地域課題があったそうです。国立公園でジオパークにも認定されている然別湖の、特定外来生物による環境破壊の懸念。冬季に湖の氷で建物をつくる人気イベント「しかりべつ湖コタン」の担い手不足など。そこで、「当町を訪れた人が、地域の魅力に触れながら、ともに課題解決を目指すワーケーションができないかと考えました。近年は企業にも何らかのSDGsアクションが求められる時代。脱炭素化の取り組みや環境活動を知る、“企業研修型”とすることで、企業側にもメリットになるのでは。そう考え、プログラムの作成を始めました」。

 

こうして令和3年、地域課題解決型ワーケーションとして観光庁のトライアルプログラムに採択され、実証実験を開始。「参加者からフィードバックを受けつつ、課題を洗い出しました。同時に、企業のニーズは千差万別であることも見えてきたのです。対応するには、役場職員のリソースだけでは難しい。そこでコンシェルジュ機能を地域の民間企業に委託することに。何より民間であれば、公務員にはできない“収益化”に挑戦できます」。

 

一方で、別の課題も浮上しました。同町の宿泊施設の多くは、ファミリーや団体客向け。ワーケーションではシングルユースが主流で、観光繁忙期と重なると部屋単価が下がり、宿泊施設に不利益をもたらすことが判明したのだそうです。「そこで、事業を閑散期の支援施策にシフトすることにしました」。令和4年からはこのワーケーションプログラムを「シカソン」と命名。プロモーションでも認知されやすくなったといいます。

 

令和3~4年の受け入れ実績は数件。「重視しているのは短期的な成果ではなく、当町に興味をもつ企業と出会うことと、持続可能な事業へ育てていくこと。そのため受け入れ数はあえて絞り、質の高いプログラムの提供を意識しています。また、企業側への交通・宿泊費の補助は行っていません。補助金頼みではなく、“自費でも参加したい”と考えてくれる企業とこそ、つながっていけたら」と力を込めます。

 

シカソンでの出会いが縁となり、DXに関する連携事業なども進み始めているそうです。新たな旅のスタイルといわれるワーケーションを独自のアイデアで再定義した、新様式の観光スタイルに今後も注目したいですね。

地域課題解決型ワーケーション「シカソン」の様子。
仕事の傍ら、SDGsに関する研修や、特定外来生物の駆除、冬季イベントの氷のドームづくりなどを行い、
学びながら地域を知る機会に。

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Vol.70
北海道鹿追町×地域課題解決型ワーケーション

地域が抱える課題を、企業とともに解決するワーケーションプログラムを独自で開発している鹿追町。民間との協働で事業の持続性を模索しつつ、閑散期の観光業にもメリットをもたらす取り組みについて、担当者に話を聞きました。


観光と畑作・酪農を主産業とする同町。家畜のふん尿処理と臭気対策を目的にバイオガスプラントを建設するなど、観光環境の改善を図るとともに、脱炭素化への道を歩みはじめていた同町。

 

令和元年からは、北海道庁が推進するワーケーションの実証実験に参画。その頃、同町にはいくつかの地域課題があったそうです。国立公園でジオパークにも認定されている然別湖の、特定外来生物による環境破壊の懸念。冬季に湖の氷で建物をつくる人気イベント「しかりべつ湖コタン」の担い手不足など。そこで、「当町を訪れた人が、地域の魅力に触れながら、ともに課題解決を目指すワーケーションができないかと考えました。近年は企業にも何らかのSDGsアクションが求められる時代。脱炭素化の取り組みや環境活動を知る、“企業研修型”とすることで、企業側にもメリットになるのでは。そう考え、プログラムの作成を始めました」。

 

こうして令和3年、地域課題解決型ワーケーションとして観光庁のトライアルプログラムに採択され、実証実験を開始。「参加者からフィードバックを受けつつ、課題を洗い出しました。同時に、企業のニーズは千差万別であることも見えてきたのです。対応するには、役場職員のリソースだけでは難しい。そこでコンシェルジュ機能を地域の民間企業に委託することに。何より民間であれば、公務員にはできない“収益化”に挑戦できます」。

 

一方で、別の課題も浮上しました。同町の宿泊施設の多くは、ファミリーや団体客向け。ワーケーションではシングルユースが主流で、観光繁忙期と重なると部屋単価が下がり、宿泊施設に不利益をもたらすことが判明したのだそうです。「そこで、事業を閑散期の支援施策にシフトすることにしました」。令和4年からはこのワーケーションプログラムを「シカソン」と命名。プロモーションでも認知されやすくなったといいます。

 

令和3~4年の受け入れ実績は数件。「重視しているのは短期的な成果ではなく、当町に興味をもつ企業と出会うことと、持続可能な事業へ育てていくこと。そのため受け入れ数はあえて絞り、質の高いプログラムの提供を意識しています。また、企業側への交通・宿泊費の補助は行っていません。補助金頼みではなく、“自費でも参加したい”と考えてくれる企業とこそ、つながっていけたら」と力を込めます。

 

シカソンでの出会いが縁となり、DXに関する連携事業なども進み始めているそうです。新たな旅のスタイルといわれるワーケーションを独自のアイデアで再定義した、新様式の観光スタイルに今後も注目したいですね。

地域課題解決型ワーケーション「シカソン」の様子。
仕事の傍ら、SDGsに関する研修や、特定外来生物の駆除、冬季イベントの氷のドームづくりなどを行い、
学びながら地域を知る機会に。

※行政マガジン「ジチタイワークスVol.27」に詳細を掲載
取材・文:株式会社ジチタイワークス マガジン編集室