自治体職員向けに、仕事につながるヒントやアイデア、事例などを紹介する行政マガジンです。自治体運営における業務改善のヒントの提供や自治体向けに事業を展開したい民間企業をサポートします。
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Vol.61
入善町×地域活性化
資源を活かした取り組みとは
富山県入善町(にゅうぜんまち)は、同県の北東部に位置し、富山湾に面しています。地域資源をどのように活用し、まちを活性化させていくかという課題に対して、海洋深層水を幅広く有効活用することで打開してきたそうです。そこで今回は、水産・深層水係の取り組みを紹介します。
同係では主に、富山湾の海洋深層水を活かした産業活性化を支援しています。海洋深層水とは、水深200m以下の深い場所で採水された海水のことを指し、地球上に存在する海水の約95%を占めているのだそう。
同町は、平成10年頃に起きた全国的な深層水ブームをきっかけに、深層水に特化した前身の課を立ち上げ。平成13年に取水施設が完成しました。水深384mから取水される海洋深層水は、1年を通して2℃前後と冷たく、清浄で栄養が豊富という特徴があるといいます。
それまでは、主に飲料水やアワビの養殖などに活用されていましたが、徐々にブームが下火に。そうした中、パックご飯の製造工場がまちに進出したことが、ターニングポイントとなったそう。年間を通して冷たいことに着目し、工場内の冷房や冷却システムのエネルギー源に採用。その後、熱交換で温まった海洋深層水を多段階活用し、全国各地からその時々の旬のカキを集めて浄化を行う企業も進出しました。
一般的に、工場の冷却やカキの飼育水の調温には電気を利用しますが、同水の多段階活用によって、コストやCO2の排出量が削減されています。今では「深層水仕込カキ」として名物に。浄化施設に隣接してつくられたカキの直売レストランには、県内外からも人が集まるようになったのだとか。
さらに、工場の生産ラインを増やす計画があり、水の需要が増えるため、取水管の増設をしているとのこと。現在、1日に約3,240tの海洋深層水を取水していますが、増設後は日量7,500tを計画。地域産業が発展できるよう支援を行っているといいます。
令和4年6月には、環境配慮の観点から同水に注目したサーモンの陸上養殖を行う企業も進出したそうで、担当者は「海洋深層水を利用した企業活動を通じて、まちの名前や評判が広がっているのを感じます」と話します。
資源を最大限に活用することで、持続可能な地域活性を実現している入善町。今後の発展に期待が高まりますね。