入社してから今日まで、OOHには「広告媒体」として向き合ってきた。クライアントのニーズに合った提案ができるよう、媒体の強みやユニットごとの特性などを学び業務に活かしてきた。
広告媒体を超えたOOHの役割
入社してから今日まで、OOHには「広告媒体」として向き合ってきた。クライアントのニーズに合った提案ができるよう、媒体の強みやユニットごとの特性などを学び業務に活かしてきた。
しかし、他メディアとの比較や様々な事例を見ていると、OOHの持つ「広告媒体としてではない役割」の多様性に気づく。せっかくの機会なので、今回は日常でなかなか言語化することのないOOHへの考えを綴ってみたいと思う。
まず、学生時代からずっと思っていることがある。それは「OOHの充実=都会の象徴」ということだ。
上京して初めて山手線の電車に乗った時、車内に掲示された広告の多さに驚いた。高校時代に通学で利用していた地元の電車とは、明らかに雰囲気が違っていた。沿線の施設情報だけではない広告内容の幅広さと情報量に圧倒されたことを、今でも覚えている。そもそも情報を広く遍く届ける広告は、人通りの多い場所に存在する。そう考えると地方よりも都会の方が発展するのは当たり前だが、その差を身をもって体感したことによって、広告も街の活況をつくる要素だと気づいた。
そして、都会に集まるOOH広告は、社会のトレンドや現状を反映している。分かりやすいのはコロナ禍の渋谷だ。ご存じのとおり、あのスクランブル交差点では人通りはもちろん、広告の数も少なくなった。社会が動き始めると、「頑張ろう」などの応援フレーズやテレワーク推奨に伴うクラウドサービスの告知をよく見かけるようになった。街の景色や雰囲気はコロナ前と大きく変わり、OOHの存在感を再認識した。
最近では、”推し活”との組み合わせにより、他のメディアにはない存在価値が強くなっていると感じる。アイドルやアーティストを起用したOOH広告は、SNSで拡散され、その広告を見るため・撮影するためにファンが足を運ぶ。直接見る、写真を撮る価値がある広告だと判断されている。むしろ、広告の役割を超えた価値が存在している。
ファン発信の応援広告も、好きなアイドルやアーティストの誕生日や記念日を周知させることだけが目的ではない。オリジナルの広告を通してお祝いをすることで、ファンが自身の存在とともに想いを伝えることができる。つまり、新しいコミュニケーション手段となっているのだ。
こうした役割は、今後も増えていくと考える。
たとえば、SNSやサブスクサービスを通して、個別化された情報に触れる機会はますます増えている。その消費スピードも早くなっていく今、「街中で自分の興味とは異なる分野の内容を目にすること」「一定期間同じ内容が同じ場所に掲出されていること」の重みはどれだけあるのだろうか。その偶発性・反復性は、現代社会でさらに価値を高めていくと期待する。
広告業界で働く人間として俯瞰的な視点も持ちながら、これからもOOHの新たな役割を見つけていきたい。









