「なんか面白い仕事来ないかな」やりたいことは何かと問われるとうまく答えられないくせに、こんなことをずっと思っていた私が、「面白い仕事なんて落ちていない」と理解するまでに5年かかった。
面白い仕事なんて落ちていない
「なんか面白い仕事来ないかな」
やりたいことは何かと問われるとうまく答えられないくせに、こんなことをずっと思っていた私が、「面白い仕事なんて落ちていない」と理解するまでに5年かかった。
今ノリに乗っている俳優や芸人を起用したテレビCM。
広告賞を総なめにするようなエモい広告。
憧れが先行して、自分の現在地に物足りなさを感じていた瞬間は正直たくさんあった。
少し大人になった今、ようやく「最初から面白い仕事なんて、(少なくとも地方の広告会社には)落ちていない」ということが分かってきた。「落ちていないから諦めるんじゃなく、自分で面白くするしかない」と。
先日、ありがたいことにチームでNY ADC賞を受賞し、表彰式へ参加するためにニューヨークを訪れた。世界的な企業の名前が並ぶ中、予算100万円にも満たない、すべて手作りの企画がDesign for Good部門で銀賞を受賞した。自社事業、自主提案、材料の調達もすべて自分たちで。途中、原料調達のために長野県白馬村の山へほぼ日帰りで行きながら、「なんでこんなことやってんだ」と思ったりもした。それでも「なんとかして面白くしてやる」というチームの気概が銀賞という結果につながった。とにかく粘り勝ちだったように思う。
授賞式で見た世界中のクリエイターたちは、みんな晴れやかな顔をしていた。その晴れやかさの奥には、きっと全員が考えて、悩んで、手を動かして、制約の中で粘ってきた時間があったのだと思う。そしてその顔は、何というか“ちゃんと報われた人の顔”だった。「私もこの顔がしたい」と素直に思った。
業界全体を語れるほどの経験はまだない。でも私が憧れていた、華やかなテレビCMや心を動かす広告も、オリエンの段階から面白かったわけではないはずだ。予算こそあれど、使えない表現があったり、最後の最後で企画がひっくり返ったりすることもあるだろう。それでもそうした制約の中で「どうにか面白くしてやる」というクリエイターの意地が、結果的に世の中に素晴らしいものを生み出しているのではないだろうか。
「面白さ」に対する執着。そして、その「面白さ」の線引きを自分で少しでも遠くへ持っていくこと。それが、5年かけてようやく分かった仕事を楽しむための姿勢だと思っている。「面白い仕事来ないかな」ではなく「どうにか面白い仕事にしてやる」。そんな5年間の発見を自戒として、ここに記しておく。









