今はそれアウトです!
令和のコンプライアンス辞典

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菊間 千乃

菊間 千乃

弁護士法人松尾綜合法律事務所
弁護士法人松尾綜合法律事務所

弁護士。1972年東京都生まれ。小学生の頃から、早稲田大学入学とフジテレビアナウンサーを志望する。1995年早稲田大学法学部卒業。同年、株式会社フジテレビジョンに入社しアナウンサーとして2007年12月まで勤務。2005年に大宮法科大学院大学(夜間主)に入学。2010年9月司法試験合格。2011年12月弁護士登録。2022年1月弁護士法人松尾綜合法律事務所代表社員に就任。

紛争解決、コンプライアンス、危機管理等の分野を中心に幅広く手掛け、上場企業の社外役員、スポーツ団体や官公庁の委員、テレビのコメンテーター等でも活躍をしている。女性弁護士の増員に向け、女子中高生や、キャリアチェンジを目指す社会人女性に対し、自身の経験を踏まえた講演会、セミナ―等を積極的に行っている。

著書『私が弁護士になるまで』(文藝春秋)、『契約のキホンのキホン』(ぎょうせい)、『いまはそれアウトです!』(アスコム)他多数。

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コンプラインスとは法令順守だけではない、企業に求められる社会的要請にどうこたえていくかという視点が大事である、ということをこれほど考えた1年はありませんでした。ビッグモーター社の板金部門における不適切請求問題に始まり...

第9回 社内のルール、社外でも通用しますか?

コンプラインスとは法令順守だけではない、企業に求められる社会的要請にどうこたえていくかという視点が大事である、ということをこれほど考えた1年はありませんでした。

ビッグモーター社の板金部門における不適切請求問題に始まり、旧ジャニーズ事務所の性被害者に対する補償問題、日大のアメフト部における薬物問題、宝塚歌劇団の劇団員の死亡に関する調査。いずれも日本中の誰もが知る組織で起こった問題です。コンプライアンスと言われて久しいですが、外部の目が入らないと、内部からの身を切るような改革は難しいのだなと思わざるを得ないものでした。

コンプライアンス問題が起こる根本原因は、外のルール(一般常識)と内のルールの乖離です。一歩外に出て、客観的な目で見れば、おかしいということはわかるはずなのに、中にいると、近視眼的な物の見方になり、またそのルールに従って生きなければ、その組織ではやっていけないと受け入れ、見なかったふりをする。そして、知らず知らずに自分もその内のルールにがんじがらめになり、次に入ってくる者に対して、内のルールを強要するようになるのです。

企業に社外取締役が求められているのは、まさにこの点で、外から見ておかしいことはないですか、私たちは一般社会のルールとずれていないですか、と、内のルールを監視してもらうためです。ビッグモーター社、旧ジャニーズ事務所、宝塚歌劇団においては、社外取締役のような外部の目が入る組織形態は作られていませんでした。

そしていったん問題が噴出した後も、外部を入れずに内部だけで改革をしようとすると、その改革の仕方にも外とのずれが生じてしまうということも、各種会見から明らかとなりました。そもそもうちのルールと外のルールがずれていることからコンプライアンス問題が生じているのですから、そのずれに気づかない組織が、自分たちだけで改革ができるわけがないのです。

外部の人はわかっていない、これまでの経緯をよくわかっている人で、内にいながら、これはおかしいと思っていた人を中心に据えて改革をしていこう。一見聞こえはいいですが、内にいながらおかしいと本当に思っていたとしたら、その方はそれまでは反体制派なわけですから、こういった組織では当然のように潰されているはずです。そういう方が中心となる改革は、外部の方が入って初めて、「内部にもこういう人がいたのだな」と、その人を見つけ、実現するのです。内部の中で次期後継者を見つけていては、これまでの内のルールもわかって、いい塩梅でやってくれる人という視点でしか選ばれません。そしてそのような改革では、内のルールと外のルールのずれは埋まらず、いったん明るみに出た溝は深まる一方なのです。

このような大事になる前に。内のルールのずれをチェックする意識が必要です。人事異動、中途採用はいい機会だと思います。新しい人を自分たちの組織色に染めるのではなく、外部から見てうちの組織はおかしいところはないか、と聞く耳を持つ姿勢。絶えずこういう意識でいることが、時代の変化に対応していく企業のコンプライアンス体制において、最も大切なことだと思います。

第9回 社内のルール、社外でも通用しますか?

コンプラインスとは法令順守だけではない、企業に求められる社会的要請にどうこたえていくかという視点が大事である、ということをこれほど考えた1年はありませんでした。

ビッグモーター社の板金部門における不適切請求問題に始まり、旧ジャニーズ事務所の性被害者に対する補償問題、日大のアメフト部における薬物問題、宝塚歌劇団の劇団員の死亡に関する調査。いずれも日本中の誰もが知る組織で起こった問題です。コンプライアンスと言われて久しいですが、外部の目が入らないと、内部からの身を切るような改革は難しいのだなと思わざるを得ないものでした。

コンプライアンス問題が起こる根本原因は、外のルール(一般常識)と内のルールの乖離です。一歩外に出て、客観的な目で見れば、おかしいということはわかるはずなのに、中にいると、近視眼的な物の見方になり、またそのルールに従って生きなければ、その組織ではやっていけないと受け入れ、見なかったふりをする。そして、知らず知らずに自分もその内のルールにがんじがらめになり、次に入ってくる者に対して、内のルールを強要するようになるのです。

企業に社外取締役が求められているのは、まさにこの点で、外から見ておかしいことはないですか、私たちは一般社会のルールとずれていないですか、と、内のルールを監視してもらうためです。ビッグモーター社、旧ジャニーズ事務所、宝塚歌劇団においては、社外取締役のような外部の目が入る組織形態は作られていませんでした。

そしていったん問題が噴出した後も、外部を入れずに内部だけで改革をしようとすると、その改革の仕方にも外とのずれが生じてしまうということも、各種会見から明らかとなりました。そもそもうちのルールと外のルールがずれていることからコンプライアンス問題が生じているのですから、そのずれに気づかない組織が、自分たちだけで改革ができるわけがないのです。

外部の人はわかっていない、これまでの経緯をよくわかっている人で、内にいながら、これはおかしいと思っていた人を中心に据えて改革をしていこう。一見聞こえはいいですが、内にいながらおかしいと本当に思っていたとしたら、その方はそれまでは反体制派なわけですから、こういった組織では当然のように潰されているはずです。そういう方が中心となる改革は、外部の方が入って初めて、「内部にもこういう人がいたのだな」と、その人を見つけ、実現するのです。内部の中で次期後継者を見つけていては、これまでの内のルールもわかって、いい塩梅でやってくれる人という視点でしか選ばれません。そしてそのような改革では、内のルールと外のルールのずれは埋まらず、いったん明るみに出た溝は深まる一方なのです。

このような大事になる前に。内のルールのずれをチェックする意識が必要です。人事異動、中途採用はいい機会だと思います。新しい人を自分たちの組織色に染めるのではなく、外部から見てうちの組織はおかしいところはないか、と聞く耳を持つ姿勢。絶えずこういう意識でいることが、時代の変化に対応していく企業のコンプライアンス体制において、最も大切なことだと思います。