現在パリのビジネススクールでマーケティング修士号を取得中。グローバルな事業展開を探求している。
世界でも大人気の抹茶は、フランスでは定着期に差し掛かりつつある。カフェやパティスリーでは、抹茶フレーバーのドリンク、ケーキは当たり前になってきており、”日常生活の一部” と言われ始めている。
抹茶ブームは“日本美”の象徴?
フランス人が惹かれる La beauté japonaise
世界でも大人気の抹茶は、フランスでは定着期に差し掛かりつつある。
カフェやパティスリーでは、抹茶フレーバーのドリンク、ケーキは当たり前になってきており、”日常生活の一部” と言われ始めている。
それどころか、抹茶人気は飲食業界にとどまらず、フレグランスやスキンケアなどの他業界まで浸透し、フランス独自の発展をしだしている。

抹茶を”香り”として取り入れたフランス
フレグランス文化の発信地であるフランスにおいて、流行中の抹茶を香りに結びつけるのは自然な流れかもしれない。しかし、本当はもう少し奥深い。実際、現地ではこのように語られている。
「現代のフレグランスにおいて、緑茶と抹茶がこれほど魅力的なのは、伝統と革新の両方を想起させる力があるからです。文化的な意味合いと儀式的な重みを持ちながらも、爽やかでモダンな香りが同時に感じられます。」
フランスの抹茶ブームの立役者 ”日本美”
抹茶ブームはフランスに限ったことではない。世界的に人気を博している背景には、健康志向の盛り上がり、濃い緑が印象的でSNS映えしやすかったこと、などが挙げられている。
フランスでは、これに加え”侘び寂び、禅、ミニマリズムなど日本的な静けさの美学への関心”が寄与したと分析されている。
これが先ほどの、香りを取り入れる文脈に繋がっていったようだ。
フランス人が抱く日本のイメージ
日本人の私たちからすると、抹茶を「儀式的な重み」や、「静けさへの美学」として解釈するフランス人の感性には驚かされる。
実際、フランスは他の国に比べて日本文化への解釈が深いと言われている。他の欧米やアジア圏では、日本の印象に「テクノロジー」「清潔」「安全」などが上がる一方、フランスでは「エキゾチック」「洗練された」などのワードが挙がってくる。
これは、19世紀後半にゴッホ等絵描きを中心に巻き起こった日本絵画ブーム「Japonisme」により、日本の美意識が「洗練された美」として捉えられ始め、その後フランスのラグジュアリー業界が日本の「静けさ・余白」「所作の美」として昇華させた背景と深く関係しているのではないか。

親日国として知られているフランス。日本文化を“美学”として再構築し、香りやデザインの文脈でブランド価値へと昇華させていくその姿勢はさすがである。次なる”日本美”ブームがが楽しみである。
出典
https://www.elle.fr/Beaute/Soins/Tendances/







