dentsu X India
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急増するファン層、インターネット普及率の上昇、日本のポップカルチャーへの嗜好の高まりに後押しされ、急激な成長を遂げているインドのアニメ市場。その規模は2024年で18億5,540万米ドル、2030年には50億3,600万米ドルに達すると予想され、今後も確実且つ急速な成長が見込まれている。
インドのアニメファンは約5,300万人で、米国に次ぐ世界第2の規模と言われている。
それを支えるのがNetflix、Amazon Prime Video、Crunchyrollなどのストリーミングプラットフォームサービスである。会員費は日本や米国の約1/4など、各社が戦略的な価格を設定し、インターネットの普及と相まって急速な普及が進む。
様々な視聴者層に対応した多様なアニメ作品が提供され、アニメは、これまでの一部のファン間でのニッチなものからエンターテインメントシーンの主流の一つになっている。
また、SNSによって最新情報の収集や意見交換、コスプレイベント参加など活気あるコミュニティが育まれている。インド最大のアニメイベント「コミコン・インディア」には5〜8万人が集い、開催都市数も年々増加。地元のアニメファンクラブやオンラインコミュニティの台頭もアニメサブカルチャーの成長に貢献している。
そして、その成長の中心にあるのが日本アニメである。
ナルト、ワンピース、鬼滅の刃、進撃の巨人、ドラゴンボールなど、どのプラットフォームでもランキング上位を日本アニメが占めている。
英語字幕の他、ヒンディー語やその他のローカル言語字幕や吹替版など積極的なローカル対応が進む。「吹替版を入口に、コアなファン層はオリジナルの日本語の台詞を楽しむ」(20代アニメファン)ような多様な楽しみ方が広がっていることも興味深い。
9月28−29日にデリー市内にて、インドで初の日本アニメイベント「メラ!メラ!アニメジャパン!! 」が開催された。在印大使館などの後援を受け、40社以上の日系企業が出展。人気アニメタイトルの出展や日本のアニソン歌手の出演などもあり、2日間の来場者が4.7万人を超える大盛況のイベントとなった。
インドでは未だに海賊版の映像やグッズが横行しており、本物を求めるアニメファンは多い。同イベントではかつてない規模で本物が展示され、好評を博した。
出展企業ブースにも多くの人が訪れ、「ブランド理解や好意度向上に寄与した」「今後アニメとのコラボレーションを検討したい」(出展企業担当者)という声も多く、アニメ人気を目の当たりにして、マーケティングでのアニメの活用が進む可能性を感じさせた。
その盛り上がりとは裏腹に、インドの街中でキャラクターを眼にする機会は少ない。それはまだマーケティングでの活用機会が少ないことの表れであり、理由として、認知度の低さやアニメは子供っぽいというインドの文化的な背景もあると考えられる。
一方で、都市部の若者層を中心に、アニメは確実に浸透し、文化として根付きつつある。また、教育機関やEラーニングでの活用などへの広がりも期待されており、ローカルアニメも含めたアニメビジネスのエコシステムが確立されていくことで、マーケティング領域においてもより大きな可能性を秘めている。
出典:MMAJ実行委員会