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片岡 真理子

片岡 真理子

ストラテジスト

東京、ロンドン、パリ。3つの都市で、マルチナショナル・クリエイティブエージェンシーのストラテジックプランナーとして20年ほど勤務。
異なる文化をつなぐコンサルタント。

過去のFresh EYEコンテンツは下記から読むことができます。
2023年4月からはこちら過去のFresh EYEへ

英国のクリスマス商戦は、ジョン・ルイス&パートナーズ(略してジョン・ルイス)のクリスマス広告で幕開けを告げるのが恒例である。今年も11月9日に新しいキャンペーンがまずオンラインで立ち上がり、クリスマスまでのカウントダウンが始まった。

これを見ると、もうすぐクリスマス!
ジョン・ルイスのクリスマス広告2023


英国のクリスマス商戦は、ジョン・ルイス&パートナーズ(略してジョン・ルイス)のクリスマス広告で幕開けを告げるのが恒例である。今年も11月9日に新しいキャンペーンがまずオンラインで立ち上がり、クリスマスまでのカウントダウンが始まった。

 

ジョン・ルイスは1929年に創業された英国を代表する高級デパートチェーン。2007年以来、毎年クリスマス広告を展開している。その広告は、心温まるストーリーや高い制作クオリティー、古いヒット曲のカバーを使った音楽などを通して見る人の琴線に触れ、今やクリスマスを代表する文化現象となっている。この時期になると英国中がジョン・ルイスの新しい広告に期待し、話題にし、歴代の広告で一番好きなのはどれかと議論する。ジョン・ルイスのクリスマス広告に使われた曲は12月のヒットチャートの上位に上がってくる。メディアにおいても、タブロイド紙からブロード紙、BBCまでもが毎年ジョン・ルイスのクリスマス広告を取り上げる。

 

これだけ注目され、愛されているクリスマス広告を2009年から2022年までの14年間担当してきたエージェンシー、アダム&イヴDDBに代わり、今年の5月からサーチ&サーチが担当している。今までの成功パターンを維持するか、全く新しい展開を見せるかと広告業界内では注目されたが、オペラ歌手(アンドレア・ボッチェリ)の歌声をバックに、少年が一生懸命に育てた巨大なハエトリグサがクリスマスプレゼントをバリバリ食べてしまったかと思うと中身を吐き出し、みんなで楽しくハエトリグサも一緒にクリスマスを祝う、という奇妙でユーモラスな今年のクリスマスキャンペーンは、「Let Your Traditions Grow(伝統も育てよう):クリスマスの祝い方を変えてもいいじゃないか」というメッセージとクリエイティブの可笑しさと新鮮さが大体において高く評価されている。

(種から木を育てる少年)

(次世代クリスマスツリーとしてハエトリグサの木を紹介する少年)

動画はこちらから

一般の視聴者においては、「(以前のような)心にぐっとくるものがない」と「暗い世の中だからこそ、ユーモアと高揚感があって良い」と意見が分かれているが、メディア各社の分析によると少年とハエトリグサとオペラ歌手が織りなすユーモアは大方好評のようだ。キャンペーンとしては、メインのテーマ広告の他にネスプレッソマシーンなどの商品にもっと焦点を当てたショートバージョンも展開され、ハエトリグサのぬいぐるみ、子供用のパジャマ、そして本物の植物など、ハエトリグサを使ったマーチャンダイジングも積極的に行われる。

 

あるリテールの専門家によると、有名人を起用し、派手に煌びやかに楽しく、が今年のクリスマス広告の傾向らしい。景気に対する不安や物価の上昇による家計の締め付けが消費者心理を暗くしているからこそ、せめて広告を通して楽しませ、クリスマス気分を盛り上げようとしているのだと。その中でジョン・ルイスは、ジョン・ルイスブランドらしく、家族の絆と伝統というもっとクリスマスの本質についてのメッセージを訴えている。この本質にこだわり続けるからこそ、文化現象、クリスマス広告の王者であり続けられるのかもしれない。

 

 

ジョン・ルイスの歴代クリスマス広告のリスト(英語):

https://www.johnlewis.com/content/gifts/every-john-lewis-christmas-advert-ever-aired

 

  

<参照記事>

https://www.bbc.com/news/

https://www.thesun.co.uk/money/

https://www.thedrum.com/news/2023/

https://www.theguardian.com/media/

これを見ると、もうすぐクリスマス!
ジョン・ルイスのクリスマス広告2023


英国のクリスマス商戦は、ジョン・ルイス&パートナーズ(略してジョン・ルイス)のクリスマス広告で幕開けを告げるのが恒例である。今年も11月9日に新しいキャンペーンがまずオンラインで立ち上がり、クリスマスまでのカウントダウンが始まった。

 

ジョン・ルイスは1929年に創業された英国を代表する高級デパートチェーン。2007年以来、毎年クリスマス広告を展開している。その広告は、心温まるストーリーや高い制作クオリティー、古いヒット曲のカバーを使った音楽などを通して見る人の琴線に触れ、今やクリスマスを代表する文化現象となっている。この時期になると英国中がジョン・ルイスの新しい広告に期待し、話題にし、歴代の広告で一番好きなのはどれかと議論する。ジョン・ルイスのクリスマス広告に使われた曲は12月のヒットチャートの上位に上がってくる。メディアにおいても、タブロイド紙からブロード紙、BBCまでもが毎年ジョン・ルイスのクリスマス広告を取り上げる。

 

これだけ注目され、愛されているクリスマス広告を2009年から2022年までの14年間担当してきたエージェンシー、アダム&イヴDDBに代わり、今年の5月からサーチ&サーチが担当している。今までの成功パターンを維持するか、全く新しい展開を見せるかと広告業界内では注目されたが、オペラ歌手(アンドレア・ボッチェリ)の歌声をバックに、少年が一生懸命に育てた巨大なハエトリグサがクリスマスプレゼントをバリバリ食べてしまったかと思うと中身を吐き出し、みんなで楽しくハエトリグサも一緒にクリスマスを祝う、という奇妙でユーモラスな今年のクリスマスキャンペーンは、「Let Your Traditions Grow(伝統も育てよう):クリスマスの祝い方を変えてもいいじゃないか」というメッセージとクリエイティブの可笑しさと新鮮さが大体において高く評価されている。

(種から木を育てる少年)

(次世代クリスマスツリーとしてハエトリグサの木を紹介する少年)

動画はこちらから

一般の視聴者においては、「(以前のような)心にぐっとくるものがない」と「暗い世の中だからこそ、ユーモアと高揚感があって良い」と意見が分かれているが、メディア各社の分析によると少年とハエトリグサとオペラ歌手が織りなすユーモアは大方好評のようだ。キャンペーンとしては、メインのテーマ広告の他にネスプレッソマシーンなどの商品にもっと焦点を当てたショートバージョンも展開され、ハエトリグサのぬいぐるみ、子供用のパジャマ、そして本物の植物など、ハエトリグサを使ったマーチャンダイジングも積極的に行われる。

 

あるリテールの専門家によると、有名人を起用し、派手に煌びやかに楽しく、が今年のクリスマス広告の傾向らしい。景気に対する不安や物価の上昇による家計の締め付けが消費者心理を暗くしているからこそ、せめて広告を通して楽しませ、クリスマス気分を盛り上げようとしているのだと。その中でジョン・ルイスは、ジョン・ルイスブランドらしく、家族の絆と伝統というもっとクリスマスの本質についてのメッセージを訴えている。この本質にこだわり続けるからこそ、文化現象、クリスマス広告の王者であり続けられるのかもしれない。

 

 

ジョン・ルイスの歴代クリスマス広告のリスト(英語):

https://www.johnlewis.com/content/gifts/every-john-lewis-christmas-advert-ever-aired

 

  

<参照記事>

https://www.bbc.com/news/

https://www.thesun.co.uk/money/

https://www.thedrum.com/news/2023/

https://www.theguardian.com/media/