ADK Thai Co.,Ltd.
Business Development Director
国内外の自動車・家電等の幅広い領域のクライアントを担当。2021年からタイに赴任、現職。
ADK Thai Co.,Ltd.
Business Development Director
国内外の自動車・家電等の幅広い領域のクライアントを担当。2021年からタイに赴任、現職。
タイでは2023年5月14日に下院総選挙が行われた。2014年の軍事クーデター以来続いていた軍事政権の是非が争点となったが、投票率約75%にも及んだ選挙結果は改革派政党の圧勝、多くの国民が従来の政治からの変化を求めた結果となった。大方の予想に反して第1党に躍進したのが前進党。彼らの勝利の大きな要因となったのが変革を求める若者からの票であり、若者からの支持獲得に大いに貢献したのが「TikTok」であった。
タイではFacebook、YouTubeの浸透率が90%を超えるため、オンラインでのコミュニケーションではまずこの2つのプラットフォームを軸としてきた。加えて、更なるリーチ獲得のためにはLINE、特に若者向けにあてたい場合にはInstagramなど適宜SNSプラットフォームを追加で組み合わせてプランニングを行うのが通例であった。そこに風穴を開けたのがTikTokで、ここ1〜2年で急速に利用者を増やし、特に10代〜20代の若者向けのコミュニケーションでは不可欠なプラットフォームとなってきている。このTikTokを通して日々情報発信を行い、若者の支持を得て、選挙に勝利をしたのが前述の前進党であった。前進党の公式アカウントは300万ものフォロワーと4300万超のLIKEを集めており、選挙期間3か月で200以上の投稿、コンテンツの総視聴回数は3億回以上、さらに候補者や支持者のアカウントも含めると関連コンテンツの合計視聴回数は40億回を超えるとも言われている。投稿コンテンツもTikTok向けに特化して作成しており、党首メッセージや街を遊説する様子、党員のダンス動画などを頻繁に投稿。党の政策を親しみやすく伝達し支持を広げた。一方で、他政党はTikTokアカウントを持っていなかったり、持っていても活用し切れていなかった。なお同じく若者の政治参加が課題となっている日本の政治政党においても、TikTokオフィシャルアカウントの有効活用はまだ進んでいないようである。
タイでは所謂ステマに関する規制が緩いこともあり、YouTube、Facebookなど従来からインフルエンサーを活用したプロモーション手法が興隆を極めているが、TikTokにおいてもまさに多種多様なインフルエンサーが存在し、特に若者向けに企業のサービスや商品を面白おかしく紹介している。若者から30〜40代へとTikTok利用の年齢層が拡がっていることから、今後さらにTikTokを使った施策は増えていくと考えられる。
③TikTokでのインフルエンサー活用事例
本稿が公開となる8月、選挙結果に則り前進党のピタ党首は果たして首相となっているのでしょうか。何が起こるか分からない“Amazing Thailand”に、今後ともご注目ください。
TikTok映像のURL:https://www.tiktok.com/@mfp.official