「高校生の頃、清涼飲料水のテレビCMにダンスで参加しました!」そのCMのメイン出演者をギャンビットがキャスティングしていたとはつゆ知らず、自慢げにアピールしたのがここに入社するきっかけになった面接だった。
商品は「人」
「高校生の頃、清涼飲料水のテレビCMにダンスで参加しました!」
そのCMのメイン出演者をギャンビットがキャスティングしていたとはつゆ知らず、自慢げにアピールしたのがここに入社するきっかけになった面接だった。
勝手に運命を感じ、完全なミーハー心だけで入社したが、
バリバリ営業をして成績をあげている先輩を横目に
1年目の私はミスを連発し、細かい作業もままならず、
広告キャスティングという仕事を理解するどころか、「社会人の壁」にぶち当たっていた。
それでも、クセが強めだがコミュニケーションに長けている上司や
キラキラ女子ながらバリキャリ営業トップの可愛い上司をはじめ、
魅力的な先輩に色々教えてもらいながら、少しずつ自分一人で案件も回せるようになったころ、対峙しているのも「人」で、商品も「人」という「キャスティング」の難しい立場や仕事としての魅力を少しずつ理解しだしたと思う。
広告主側と出演者側の間に立つ板挟みの仕事、なんてよく言われるが、
仕事相手に「あの若い女の子」から「名前」で認知してもらえるようになって、「あなたにお願いしたい」「あなただから相談したい」と言われるようになる変化がなにより嬉しいことだと実際に言われてみて感じた。
知識や経験ももちろん大事だが、
それより私は「人間力」を身につけたいと思うようになった。
世間に30秒程度しか流れないCMでも
その1本を撮るために何十人、何百人ものひとが携わっていて、
たくさんの時間と労力、調整と交渉の中、あの一瞬一瞬のシーンが出来ている。
そう考えると広告を出してよかったとクライアントに思ってもらえなくてはやる意味がない。
そのほんの少しのお手伝いにすぎない私たちキャスティングだけど、
それでもお願いしてよかったと思われないともったいない。
ちなみにうちの会社の企業理念は「クライアントファースト」。
最初は正直、よくわかっていなかった。
ただ、大きなお金が動く案件を目の前にしたり、有名芸能事務所を相手にしていると、尻込みすることや怖いと思うこともある。
でも元をたどれば結局対峙しているのは人と人なのだ。
相手の意図や思いをくみ取って、その気持ちに応える。
希望や理想を聞いて叶えられるよう寄り添う。
だからもっと相手を知ろうと思うし、興味を持つ。
好かれてもらえるよう努力もするし、歩み寄る。
これって人間関係でも同じで、
どんなに大企業だろうが大手芸能事務所だろうが中にいるのは人だから、
私はその目の前にいる人を「人間力」で大事にしたいと、
たった3年、されど3年、この業界で揉まれて思うようになった。
この想いが「クライアントファースト」なのかは正直まだわからない。
わからないけどきっとなにかに繋がると信じて、私は今日も出社する!