コミュニケーションプランニングセンター
広告業界や広告、コミュニケーションについてJAAA 会員社の若手はどう感じているのか?
月イチ更新でお届けします!
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昨今、OOHを主戦場として賑わいを見せている「応援広告」。渋谷・新宿・池袋などのターミナル駅を歩いていると、目にしない日のほうが少ないのではないかと思うくらい普及が著しい。
私はこの「応援広告」に広告業界の役割やあるべき姿のヒントが隠されていると考え、この場を借りて私見を綴らせてもらうこととした。
応援広告のルーツは韓国の「センイル(誕生日)広告」に由来する。自分の好きなアイドルやアーティスト、キャラクターなど、いわゆる“推し”へのポジティブな気持ちを世の中に広く発信する方法として、推し活文化が根強い日本でも急速に広まった。
基本的には、対象となる“推し”の誕生日やCDリリース、ライブ等のイベント開催といった記念日に合わせて出稿されることが多く、ファン同士が共同で費用を捻出し、制作物のデザインから広告枠の申込、掲載までの版権元・広告会社とのやり取りすべてを有志のみで行なう画期的な“推し活”だ。
法人や事業者ではなく「一般消費者が出稿する」という点において、応援広告は大きな可能性を秘めている。とりわけ近年、広告費の微減〜横ばいが続いている交通広告業界にとっては願ってもないチャンスといえるだろう。ある鉄道会社では、「え?!ここに推しの広告が出せるの?!」というコピーとポップなデザインの自社広告を掲載したり、問い合わせから掲載までを一貫してサポートするサービスが展開されたりと、このチャンスを逃すまいと次々と手を打ってきている。このように門戸が広がれば市場規模も拡大し、さらに新しいメディアやサービスが生まれるなどの相乗効果も期待できる。また、ターゲットとなるようなコミュニティは常にアンテナを張っており情報収集力も非常に高い。そのため、常に新しい情報を発信し続けることも重要であり、こうした時代の変化に柔軟に対応していかなければならない。
「応援広告」の根底には、「自分の気持ちを伝えたい」という人間社会を生きる上での欠かせない心理がある。人はだれしも、自分が好きなものを一度は他人に薦めたことがあるだろう。応援広告ではそれが“推し”へ向けた愛情表現や、“推し”の魅力を世の中に広めたいというファンならではの思いとして形になる。私はそこに「物事の魅力を伝える」という広告の本質の存在を感じた。この本質をサポートするのが広告業界の役割であり、意識していくべき姿であると思う。様々な形の「伝えたい」を掬い上げ叶えていくことが、広告業界の未来を切り開いていくのであろう。