「今後も伸びるであろうインターネット広告に携わりたい!」と、インターネット広告業界に飛び込んだ私だが、働くなかで“広告とメディアの関係”への捉え方に変化があった。本記事では、“広告とメディアの関係”について、一考察を述べていきたい。
深化する“広告とメディア”
「インターネット広告費がテレビメディア広告費を超えた」。電通から発表された、2019年の日本の広告費の状況は、広告業界にとっての一大ニュースだった。その後、マスコミ四媒体の衰退を予想した人もいたかもしれないが、2022年の発表では「マスコミ四媒体由来のデジタル広告費」が高い伸びを記録した。
「今後も伸びるであろうインターネット広告に携わりたい!」と、インターネット広告業界に飛び込んだ私だが、働くなかで“広告とメディアの関係”への捉え方に変化があった。本記事では、“広告とメディアの関係”について、一考察を述べていきたい。
昨今は、マスコンテンツとインターネットコンテンツの境目がなくなる傾向が加速している。たとえば、『TikTokに投稿された切り抜き動画がきっかけとなりテレビコンテンツの視聴へとつながる』『Twitterでの考察がテレビドラマを盛り上げる』『テレビで活躍するタレントがSNSでの配信活動を積極的に行う』など、事例は枚挙にいとまがない。
ここから見えてくる重要な気づきは、『捉えるべきは今どのメディアが盛り上がっているかではなく、メディア間での情報流通構造がどうなっているか』である。
人類総メディア化時代と言われる現代において、『どのメディア(この場合のメディアは人も含む)を起点に、どんな切り口から話題が発生し、どのメディアへ情報流通しているか』という、情報流通構造を見つけることが重要なのだ。
情報流通構造の視点に立つと、広告は、メディアのなかでひとつの情報コンテンツとして成立することで、生活者に受け入れられると考えられる。
対象とする商品/サービスにおいて、『生活者が知りたいと思っていること』に沿って情報開発を行い、広告クリエイティブに落とし込む。その広告クリエイティブをメディア間の情報流通構造にのせることで、人々の間で広まっていくのだ。
入社以来、さまざまな商材を担当させていただいてきたが、『広告を出稿する場所としてのメディアはどこか』ではなく、『メディアのなかで生きる情報コンテンツとしての広告』を考えると、提案するクリエイティブも出稿メディアも、商品/サービスによって全く異なってきた。必ずしも、インターネットメディアではなく、マスメディアを提案する機会もある。
“広告とメディアの関係”はもはや『出稿するモノと出稿場所』ではない。その関係は、より深く密接になり、『情報コンテンツとしての広告とその情報を伝えるメディア』になっていると考える。
常に時代の変化を捉え、広告の可能性を追い求めていきたい。