広告ビジネス用語

2023年度から新シリーズとして「広告ビジネス用語」を連載します。
広告ビジネスにおいて毎年いろいろなワードが重要用語として使われています。新しく追加されるものや、従来の意味から変化してきた用語などもあります。そのような変化に応じて再確認の意味も含めて読者の皆さんにお伝えします。※用語の選定には、当協会発行『広告ビジネス入門』を参考にしています。

広告ビジネス用語

広告ビジネス用語

文:株式会社読売広告社 中村 信介

2023年度から新シリーズとして「広告ビジネス用語」を連載します。
広告ビジネスにおいて毎年いろいろなワードが重要用語として使われています。新しく追加されるものや、従来の意味から変化してきた用語などもあります。そのような変化に応じて再確認の意味も含めて読者の皆さんにお伝えします。※用語の選定には、当協会発行『広告ビジネス入門』を参考にしています。

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2023年度から新シリーズとして「広告ビジネス用語」を連載します。
広告ビジネスにおいて毎年いろいろなワードが重要用語として使われています。新しく追加されるものや、従来の意味から変化してきた用語などもあります。そのような変化に応じて再確認の意味も含めて読者の皆さんにお伝えします。※用語の選定には、当協会発行『広告ビジネス入門』を参考にしています。

広告ビジネス用語

2023年度から新シリーズとして「広告ビジネス用語」を連載します。
広告ビジネスにおいて毎年いろいろなワードが重要用語として使われています。新しく追加されるものや、従来の意味から変化してきた用語などもあります。そのような変化に応じて再確認の意味も含めて読者の皆さんにお伝えします。※用語の選定には、当協会発行『広告ビジネス入門』を参考にしています。

文:株式会社読売広告社 中村 信介

2023年度から新シリーズとして「広告ビジネス用語」を連載します。
広告ビジネスにおいて毎年いろいろなワードが重要用語として使われています。新しく追加されるものや、従来の意味から変化してきた用語などもあります。そのような変化に応じて再確認の意味も含めて読者の皆さんにお伝えします。※用語の選定には、当協会発行『広告ビジネス入門』を参考にしています。

2023年度から新シリーズとして「広告ビジネス用語」を連載します。
広告ビジネスにおいて毎年いろいろなワードが重要用語として使われています。新しく追加されるものや、従来の意味から変化してきた用語などもあります。そのような変化に応じて再確認の意味も含めて読者の皆さんにお伝えします。※用語の選定には、当協会発行『広告ビジネス入門』を参考にしています。

2023年度から新シリーズとして「広告ビジネス用語」を連載します。
広告ビジネスにおいて毎年いろいろなワードが重要用語として使われています。新しく追加されるものや、従来の意味から変化してきた用語などもあります。そのような変化に応じて再確認の意味も含めて読者の皆さんにお伝えします。※用語の選定には、当協会発行『広告ビジネス入門』を参考にしています。

2023年度から新シリーズとして「広告ビジネス用語」を連載します。
広告ビジネスにおいて毎年いろいろなワードが重要用語として使われています。新しく追加されるものや、従来の意味から変化してきた用語などもあります。そのような変化に応じて再確認の意味も含めて読者の皆さんにお伝えします。※用語の選定には、当協会発行『広告ビジネス入門』を参考にしています。

広告ビジネス用語

文:株式会社読売広告社 中村 信介

広告ビジネス用語

文:株式会社読売広告社 中村 信介
広告ビジネス入門 第24版

広告ビジネス入門 第24版

(2022年9月発行/隔年発行)
(2022年9月発行/隔年発行)

広告会社の新入社員を対象にした広告ビジネスの入門書です。すぐに現場で応用できる実務書として好評です。

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広告ビジネスにおいて毎年いろいろなワードが重要用語として使われています。新しく追加されるものや、従来の意味から変化してきた用語などもあります。そのような変化に応じて再確認の意味も含めて読者の皆さんにお伝えします。

第8回 「インサイト」とは

「インサイト(insight)」とは、「洞察力」「見抜くこと」。そこから発展して「洞察によって得られたもの」「真相」「発見・知見」「本音・本質」という意味でも使われます。
マーケティングやクリエイティブの世界では、「コンシューマー・インサイト(consumer insight)」=消費者の潜在意識(欲求やホンネ)のことを「インサイト」と呼び慣わしています。
顕在化した欲求といえる「ニーズ」に対して、生活者自身でさえ「言われてみればそうだった!(言われてみるまで気づかなかった)」と思うような隠れた深層心理を指し、インサイトを巧みに言い当てることは、生活者の欲求や信頼の起動につながり、競合ブランドと差別化されたコミュニケーションが可能になります。


■インサイトの背景:

「インサイト」は、1960-70年代にイギリスの広告業界で、消費者心理から広告表現までを全体として扱う「アカウントプランニング」という考え方の中で生まれた概念といわれています。プロダクトの差別化訴求から、生活者の心の声の傾聴へ。
一方、この時代には「行動経済学」の萌芽(第一世代)も見られます。生活者を機械のように合理的に動く存在としてではなく、思い込みやバイアスも含めて、感情的・非合理的に行動する存在として扱う「行動経済学」は、のちに「ナッジ(nudge)」=生活者インサイトから行動変容を促す工夫、というユニークな考え方を生みました。

■インサイトの活用と意義:

スティーブ・ジョブズも好んで引用した、自動車王ヘンリー・フォードの名言があります。
「もしもユーザーに、何が欲しいのかと尋ねていたなら、もっと速い馬が欲しいと答えただろう。」
この言葉はさまざまな示唆に富みますが、とりわけ「生活者は、自身の潜在欲求については、提示されるまで気づかないものだ」ということを教えてくれます。もしも、その「提示」が心の芯をとらえたものであれば、生活者は「なぜ今まで気づかなかったのだろう」という驚きとともに「言われてみれば欲しかった・好きだった」という、欲求や信頼を起動させるのです。

 広告コピーなどのクリエイティブに触れたとき、「あるある」「その気持ちわかる」という感情が芽生えることがあります。さらに一歩進んで「言われてみれば確かにそうだ!」「なぜ私の気持ちがわかったの?」と強く感じたならば、それは正にインサイトを踏まえたコミュニケーションだといえるでしょう。

インサイトの探り方には調査や分析法を含め、古今さまざまな手法が提案されていますが、いずれにしても、「人とブランドの関わり方」を見つめること、想像するデリカシーが大切です。生活者のタテマエからは見えてこない、ホンネの世界。本能や快楽、嫉妬や承認欲求まで宿した非合理な人間が、ブランドの何を好んでいるのか、実はどんな風に使っているのか、何が足りないと思っているのか、観察と洞察が必要です。

 さらに、インサイトは、「個人の商品選択」などの狭い範囲にとどまるものでもありません。「言われてみるまで気づかなかった」という「驚き→発見→愛着」の心の動きは、すなわち「価値の再定義」や「新価値提案」にも当てはまります。例えば、「自動車メーカーではなく、モビリティカンパニーへ」という自社事業の再定義には、(一個人の嗜好の範囲を超えて)広く社会全般の心を動かす普遍性があるのではないでしょうか。

 フォードの名言が示唆的なのは、「見えないインサイト」を相手にすることは、深くマーケットインを意識した姿勢でありながらも、結果一回転して、(自らのインサイトを信じた)プロダクトアウトでもあるのだということを示しているからです。インサイトとは、究極的には「内面の自由」のこと。アルゴリズムを超えた、最後の「人間らしさ」と言ってしまっては大げさでしょうか。

 

文:株式会社読売広告社 中村 信介

第8回 「インサイト」とは

「インサイト(insight)」とは、「洞察力」「見抜くこと」。そこから発展して「洞察によって得られたもの」「真相」「発見・知見」「本音・本質」という意味でも使われます。
マーケティングやクリエイティブの世界では、「コンシューマー・インサイト(consumer insight)」=消費者の潜在意識(欲求やホンネ)のことを「インサイト」と呼び慣わしています。
顕在化した欲求といえる「ニーズ」に対して、生活者自身でさえ「言われてみればそうだった!(言われてみるまで気づかなかった)」と思うような隠れた深層心理を指し、インサイトを巧みに言い当てることは、生活者の欲求や信頼の起動につながり、競合ブランドと差別化されたコミュニケーションが可能になります。


■インサイトの背景:

「インサイト」は、1960-70年代にイギリスの広告業界で、消費者心理から広告表現までを全体として扱う「アカウントプランニング」という考え方の中で生まれた概念といわれています。プロダクトの差別化訴求から、生活者の心の声の傾聴へ。
一方、この時代には「行動経済学」の萌芽(第一世代)も見られます。生活者を機械のように合理的に動く存在としてではなく、思い込みやバイアスも含めて、感情的・非合理的に行動する存在として扱う「行動経済学」は、のちに「ナッジ(nudge)」=生活者インサイトから行動変容を促す工夫、というユニークな考え方を生みました。

■インサイトの活用と意義:

スティーブ・ジョブズも好んで引用した、自動車王ヘンリー・フォードの名言があります。
「もしもユーザーに、何が欲しいのかと尋ねていたなら、もっと速い馬が欲しいと答えただろう。」
この言葉はさまざまな示唆に富みますが、とりわけ「生活者は、自身の潜在欲求については、提示されるまで気づかないものだ」ということを教えてくれます。もしも、その「提示」が心の芯をとらえたものであれば、生活者は「なぜ今まで気づかなかったのだろう」という驚きとともに「言われてみれば欲しかった・好きだった」という、欲求や信頼を起動させるのです。

 広告コピーなどのクリエイティブに触れたとき、「あるある」「その気持ちわかる」という感情が芽生えることがあります。さらに一歩進んで「言われてみれば確かにそうだ!」「なぜ私の気持ちがわかったの?」と強く感じたならば、それは正にインサイトを踏まえたコミュニケーションだといえるでしょう。

インサイトの探り方には調査や分析法を含め、古今さまざまな手法が提案されていますが、いずれにしても、「人とブランドの関わり方」を見つめること、想像するデリカシーが大切です。生活者のタテマエからは見えてこない、ホンネの世界。本能や快楽、嫉妬や承認欲求まで宿した非合理な人間が、ブランドの何を好んでいるのか、実はどんな風に使っているのか、何が足りないと思っているのか、観察と洞察が必要です。

 さらに、インサイトは、「個人の商品選択」などの狭い範囲にとどまるものでもありません。「言われてみるまで気づかなかった」という「驚き→発見→愛着」の心の動きは、すなわち「価値の再定義」や「新価値提案」にも当てはまります。例えば、「自動車メーカーではなく、モビリティカンパニーへ」という自社事業の再定義には、(一個人の嗜好の範囲を超えて)広く社会全般の心を動かす普遍性があるのではないでしょうか。

 フォードの名言が示唆的なのは、「見えないインサイト」を相手にすることは、深くマーケットインを意識した姿勢でありながらも、結果一回転して、(自らのインサイトを信じた)プロダクトアウトでもあるのだということを示しているからです。インサイトとは、究極的には「内面の自由」のこと。アルゴリズムを超えた、最後の「人間らしさ」と言ってしまっては大げさでしょうか。

 

文:株式会社読売広告社 中村 信介