OOH業界6年ばかりのひよっこで恐縮ですが…大変貴重な機会を頂きましたので、今大切にしたいと考えていることについてお話したいと思います。
今更気づく当たり前の価値
OOH業界6年ばかりのひよっこで恐縮ですが…大変貴重な機会を頂きましたので、今大切にしたいと考えていることについてお話したいと思います。
(私自身もできていないことなので自戒の念も込めております)
効率化やデータ化といった言葉が飛び交う今、「OOHは現場で見てこそ意味を持つ」という、ごくシンプルな真実に気づかされました。
私が入社1年目の頃、会社の先輩から「カタログ販売になるな」と言われたことがあります。メディアガイドや資料だけで案件を進めるのではなく、必ず現地で広告を見ろ、という戒めだと受け取りました。当時の私は、忙しさを言い訳にその言葉を深くは受け止めきれず、駅に足を運ぶことよりも、デスクで完結する作業を優先していました。
しかし、6年という時間を経て思います。私は「駅のこと、媒体のことをよく知らない」ということ…。この業界は同業他社の方と関わる機会が非常に多く、会話をする度にその実感が強まります。視認環境、乗降動線、出口ごとの属性、通行量のピーク、再開発の現状……。彼らは驚くほど細やかに駅を把握しており、「この媒体は朝の逆流動線で弱い」「この位置は柱が死角になる」「流動が多すぎて媒体が見えない」など、具体的な現場感が自然と会話の中に出てきます。それは、どれだけ媒体資料を読み込んでも身につかない“実地の知識”です。
近年、データ環境が整備され始め、デモグラフィックデータや視認ログなど、OOHの可視化は確実に進み、評価手法も変わりつつあります。データに基づく提案の重要性は間違いなく増していますし、私たちの業界は多くの恩恵を受けることと思います。
しかしその一方で、現地を知っているかどうかの差は、最終的な説得力に大きく影響すると考えるようになってきました。数字が示すのは“傾向”であり、駅や媒体自身が持つ“気配や温度”までは表してくれません。
私の最寄り駅は、エスカレーターがいつも大変混み合うのですが、そこにうまくポジショニングしているB0サイズのポスターがあります。夕日に照らされると輝いているようで、自然と視線が奪われ、気づいたら告知されていた回転寿司屋に足を運んでいたなんてことも。こうした状況は、現地にいる者だけにしか分からないことです。
OOHは、環境そのものがメディアです。だからこそ、環境を知らずに語ることはできないはずです。どれだけ優れたデータが揃ったとしても、「この場所ならではの体験価値」を理解するためには、実際にその場に立つしかないと考えています。6年目の今、遅ればせながらその当たり前の事実を痛感しています。
OOHに関わる者として、資料ではなく現場を見に行くことを怠らない。忙しい忙しいと屋内に籠りがちですが、ビールっ腹を引っ込めるためにも…積極的に現地を訪れ、体で様々な知見を深めていきたいです。







