組織におけるAI活用術

AIと描く未来、働き方と組織の固定概念を変革し共に成長する物語。その先駆者となるマーケティング領域での実践的アプローチを、具体的な活用事例から探る。

組織におけるAI活用術

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AIと描く未来、働き方と組織の固定概念を変革し共に成長する物語。その先駆者となるマーケティング領域での実践的アプローチを、具体的な活用事例から探る。

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AIと描く未来、働き方と組織の固定概念を変革し共に成長する物語。その先駆者となるマーケティング領域での実践的アプローチを、具体的な活用事例から探る。

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AIと描く未来、働き方と組織の固定概念を変革し共に成長する物語。その先駆者となるマーケティング領域での実践的アプローチを、具体的な活用事例から探る。

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AIと描く未来、働き方と組織の固定概念を変革し共に成長する物語。その先駆者となるマーケティング領域での実践的アプローチを、具体的な活用事例から探る。

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中原 柊

中原 柊

Magicx consulting
Magicx consulting

執行役員 CAIO(Chief AI Officer)


大手コンサルティングファーム、クリエイティブ系法人向けスタートアップを経て、現職。メディア、Webサービス、通信、エネルギー業界を中心に、DX企画、AI実装、CX改革、事業戦略、販促領域などに携わる。 コンサルティング活動の傍ら、社内DX部門にて外部情報発信やAI系スタートアップとの協業に従事。クリエイティブ系法人向けSaaS企業にてCustomer Successを立上げ、契約更新率の大幅改善を達成。新規プロダクトの立ち上げ等も主導。現職においてはDXコンサルティング事業/組織の立ち上げを主導しながら、プロジェクトリード、及び、ブランディング/マーケティング活動に従事。また、博報堂DYグループでAI活用を進めるHCAI Instituteへ所属。主な著書に『DXの真髄に迫る』(共著/東洋経済新報社)。

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今回も、AIによる思考の均質化への対策を考えたい。今回の着眼点は、「みんなで同じAIを使う」ことだ。組織では、全社で導入した同じツール、共有された同じプロンプトを、みんなで使うことが多い。均質化の要因はここにもあるかもしれない、ということが本年の研究で見えてきた。

第19回 みんなで同じ発想をしてしまうのは、みんな同じAIと話しているからかもしれない


今回も、AIによる思考の均質化への対策を考えたい。今回の着眼点は、「みんなで同じAIを使う」ことだ。組織では、全社で導入した同じツール、共有された同じプロンプトを、みんなで使うことが多い。均質化の要因はここにもあるかもしれない、ということが本年の研究で見えてきた。

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■AIに10人の人格を持たせた実験

本題へ行く前に、前提となる研究がある。英国のUCL(University College London)とエクセター大学のDoshiとHauserが2024年に発表した、短い物語を書く実験だ。AIが出したプロットのアイデアを参考にできた人は、個人としてはより創造的な物語を書けた。ところが集団で見ると、物語どうしが似てしまった。本連載で追ってきた「集団での均質化」が、ここに起きていたのである。

本稿で主に取り上げたいのは、この実験を問い直した研究だ。米ヒューストン大学ダウンタウン校とイスラエル・オープン大学のWanとKalmanによるものである。彼らが注目したのは、DoshiとHauserの実験では参加者全員が、同じAIからアイデアを受け取っていた点だ。

そこで彼らは、AIに10人の異なる人格(ペルソナ)を与えた。文化的背景、好きな小説のジャンル、思考のスタイル、趣味などを組み合わせてつくった10人だ。例えば、カリブ海出身でコメディを愛し、発散的に考えるカルロス。北米出身でグラフィックノベルを好み、起業家を志すエレナ。この10人に、「異星での冒険」を題材にした3文のプロット案を30本ずつ書かせ、計300本のアイデアを用意した。

実験に参加したのは約100名。8文の短い物語を書く課題に、「AIなしで書く」「AIのアイデアを1本まで見られる」「5本まで見られる」の三つのグループに分かれて取り組んだ。アイデアを求めた人には、300本の中からランダムに選ばれたものが届く。つまり、一人ひとり、隣の人とは違うペルソナをもったAIと話している可能性が高い。

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■AIをうまく使えば、物語は似通らない

結果は明快だった。DoshiとHauserの実験で見られた「AIを使うと物語が似る」という現象は、再現されなかった。AIなしより物語がばらけていた。

図1. 同じペルソナのAIを用いた集団、違うペルソナのAIを用いた集団の均質化度合いの比較

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AIを使ったことは同じでも、結果は変わったのである。著者は、均質化はAIに固有の限界ではなく、全員に一律に配る使い方から生まれると結論づけている。

また、余談だがペルソナごとの違いも興味深い。10人のペルソナを持つAIのうち、最も個性のはっきりしたアイデアを出したのは、カリブ海出身でコメディを愛するカルロスだった。反対に、他と最も区別がつきにくかったのは、北米出身で起業家を志すエレナだ。著者は、エレナのこうした特徴はAIの学習データの主流に近く、その結果平均的な答えに吸い寄せられたのではないかと見ている。ペルソナを設定してAIの声を散らすつもりでも、それが学習データの主流に近い声ばかりでは散らないのである。

‍

■わたしたちに対する示唆

まず、全社共通のプロンプトやボットを見直したい。発想が生命線の業務では、みんなで同じAIを使うこと自体が、均質化の要因になりうる。

では、どう散らすか。たとえば、私の所属する博報堂DYグループの「バーチャル生活者」はヒントになるだろう。独自の大規模調査パネルのデータをもとにAIでさまざまな生活者を再現するもので、コンセプト開発やクリエイティブ開発、メディアプラニングなどの提案で活用している。一度に複数の生活者を設定し、同時に対話することもできる。こうしたユースケースこそ、諸刃の剣となりうるため、業務での使い方が重要だ。企画会議の前に全員が同じ生活者に話を聞けば、持ち寄るインサイトは似てくるだろう。そうではなく、メンバーごとに違う生活者を割り当てる。一人は子育て中の共働き世帯と、一人は地方で暮らす70代と話してから、会議に集まるのだ。そうすれば、チームにおける発想の均質化を防げる可能性があるだろう。

割り当てるときは、平均的な生活者ばかりにしないことだ。とがったペルソナのAIも入れておくことで、平均的な発想に寄ることを防げるだろう。組織の発想が揃ってしまうのは、AIの宿命ではない。ぜひ、次のブレストの割り当てから試してみてほしい。

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<出典>

Doshi, A. R. & Hauser,O. P. (2024). Generative AI enhances individual creativity but reduces the collective diversity of novel content. Science Advances, 10(28), eadn5290.

Wan, Y. & Kalman, Y. M.(2026). Diverse AI personas can mitigate the homogenization effect in human-AI collaborative ideation. Computers in Human Behavior: Artificial Humans, 8,100289.

博報堂DYホールディングス(2025年11月13日)「博報堂DYグループ、AIがデータに基づき再現した複数の生活者との会話を実現」ニュースリリース

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第19回 みんなで同じ発想をしてしまうのは、みんな同じAIと話しているからかもしれない


今回も、AIによる思考の均質化への対策を考えたい。今回の着眼点は、「みんなで同じAIを使う」ことだ。組織では、全社で導入した同じツール、共有された同じプロンプトを、みんなで使うことが多い。均質化の要因はここにもあるかもしれない、ということが本年の研究で見えてきた。

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■AIに10人の人格を持たせた実験

本題へ行く前に、前提となる研究がある。英国のUCL(University College London)とエクセター大学のDoshiとHauserが2024年に発表した、短い物語を書く実験だ。AIが出したプロットのアイデアを参考にできた人は、個人としてはより創造的な物語を書けた。ところが集団で見ると、物語どうしが似てしまった。本連載で追ってきた「集団での均質化」が、ここに起きていたのである。

本稿で主に取り上げたいのは、この実験を問い直した研究だ。米ヒューストン大学ダウンタウン校とイスラエル・オープン大学のWanとKalmanによるものである。彼らが注目したのは、DoshiとHauserの実験では参加者全員が、同じAIからアイデアを受け取っていた点だ。

そこで彼らは、AIに10人の異なる人格(ペルソナ)を与えた。文化的背景、好きな小説のジャンル、思考のスタイル、趣味などを組み合わせてつくった10人だ。例えば、カリブ海出身でコメディを愛し、発散的に考えるカルロス。北米出身でグラフィックノベルを好み、起業家を志すエレナ。この10人に、「異星での冒険」を題材にした3文のプロット案を30本ずつ書かせ、計300本のアイデアを用意した。

実験に参加したのは約100名。8文の短い物語を書く課題に、「AIなしで書く」「AIのアイデアを1本まで見られる」「5本まで見られる」の三つのグループに分かれて取り組んだ。アイデアを求めた人には、300本の中からランダムに選ばれたものが届く。つまり、一人ひとり、隣の人とは違うペルソナをもったAIと話している可能性が高い。

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■AIをうまく使えば、物語は似通らない

結果は明快だった。DoshiとHauserの実験で見られた「AIを使うと物語が似る」という現象は、再現されなかった。AIなしより物語がばらけていた。

図1. 同じペルソナのAIを用いた集団、違うペルソナのAIを用いた集団の均質化度合いの比較

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AIを使ったことは同じでも、結果は変わったのである。著者は、均質化はAIに固有の限界ではなく、全員に一律に配る使い方から生まれると結論づけている。

また、余談だがペルソナごとの違いも興味深い。10人のペルソナを持つAIのうち、最も個性のはっきりしたアイデアを出したのは、カリブ海出身でコメディを愛するカルロスだった。反対に、他と最も区別がつきにくかったのは、北米出身で起業家を志すエレナだ。著者は、エレナのこうした特徴はAIの学習データの主流に近く、その結果平均的な答えに吸い寄せられたのではないかと見ている。ペルソナを設定してAIの声を散らすつもりでも、それが学習データの主流に近い声ばかりでは散らないのである。

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■わたしたちに対する示唆

まず、全社共通のプロンプトやボットを見直したい。発想が生命線の業務では、みんなで同じAIを使うこと自体が、均質化の要因になりうる。

では、どう散らすか。たとえば、私の所属する博報堂DYグループの「バーチャル生活者」はヒントになるだろう。独自の大規模調査パネルのデータをもとにAIでさまざまな生活者を再現するもので、コンセプト開発やクリエイティブ開発、メディアプラニングなどの提案で活用している。一度に複数の生活者を設定し、同時に対話することもできる。こうしたユースケースこそ、諸刃の剣となりうるため、業務での使い方が重要だ。企画会議の前に全員が同じ生活者に話を聞けば、持ち寄るインサイトは似てくるだろう。そうではなく、メンバーごとに違う生活者を割り当てる。一人は子育て中の共働き世帯と、一人は地方で暮らす70代と話してから、会議に集まるのだ。そうすれば、チームにおける発想の均質化を防げる可能性があるだろう。

割り当てるときは、平均的な生活者ばかりにしないことだ。とがったペルソナのAIも入れておくことで、平均的な発想に寄ることを防げるだろう。組織の発想が揃ってしまうのは、AIの宿命ではない。ぜひ、次のブレストの割り当てから試してみてほしい。

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<出典>

Doshi, A. R. & Hauser,O. P. (2024). Generative AI enhances individual creativity but reduces the collective diversity of novel content. Science Advances, 10(28), eadn5290.

Wan, Y. & Kalman, Y. M.(2026). Diverse AI personas can mitigate the homogenization effect in human-AI collaborative ideation. Computers in Human Behavior: Artificial Humans, 8,100289.

博報堂DYホールディングス(2025年11月13日)「博報堂DYグループ、AIがデータに基づき再現した複数の生活者との会話を実現」ニュースリリース

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